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HOMEエレクトロニクス通信ニュース・トレンド解説 > 世界初の“常温量子コンピューター”、NTTなどが24時間動作を実現

ニュース・トレンド解説

世界初の“常温量子コンピューター”、NTTなどが24時間動作を実現

オンラインで公開し、誰でも無料で利用可能に

  • 野澤 哲生
  • 2017/11/22 01:42
  • 1/3ページ
今回初公開のラック型QNN。内部の温度変化を摂氏0.1度以下にして、動作の安定性を大きく高め、24時間の安定稼働を実現したとする。
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パネルに2000ノードのMAXCUT問題の入出力情報を示した様子。左側が問題を入力した状態。右側が計算結果。
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ImPACTのプログラム・マネージャーである山本喜久氏
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ラック版の旧世代となるテーブル上のQNNの全景
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光パルス(量子ビット)が流れる1km長の光ファイバー
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問題設定や結合制御をするFPGAモジュール(下)
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エラー訂正などをする位相感応増幅器
信号の位相のsin成分だけを増幅する。低雑音であることも特徴
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レーザーの連続光をパルス化する部分
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 NTTは2017年11月20日、光ファイバーなどを用いた非ノイマン型計算システム「Quantum Neural Network(QNN)」を24時間稼働させることに成功し、同月27日からオンラインで、誰にでも無償で利用可能にすると発表した。内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の下、国立情報学研究所(NII)や理化学研究所と共同開発した。

 QNNは、いわゆるイジング(Ising)マシンの一種である。イジングマシンは、互いに磁界を及ぼす多数のスピンから成り、外部磁界などとの関係から、各スピンの向きがどのようになるかを調べる物理実験モデルである。このイジングマシンは理論上は、古典的コンピューターが扱うほとんどの問題を解くことができる。特に、ある制約条件の基に、最適な組み合わせを調べる「組み合わせ最適化問題」に対して非常に有用であることが知られている。

長さ1kmの光ファイバーのループ

 QNNではスピンや磁石の代わりに、長さ1kmの光ファイバーをループ状につなぎ、その上を2000個の光パルスを周回させながら、それぞれをFPGAなどを用いて人工的に結合させることで、イジングマシンを再現した。この光パルスが、スピンの上向きか下向きかに対応する、「1」と「-1」といった2つの状態を同時に持ちうる「量子ビット」の代わりとなる。

 システムは当初、大きなテーブル上に実装していたが、今回、ラック1台に収めたシステムを新たに開発した。消費電力は、約1kWである。

 同様なイジングマシンを再現したシステムに、カナダD-Wave Systems社が既に販売する「D-Wave 2000Q(2000Q)」などがある1)。2000Qは、動作原理は完全に物理現象である一方で、量子ビット同士は、物理的な距離の近さ、あるいは配線を用いて結合させるため、実装上の制約から結合数は最大で約1万2000本。「実質的に約60量子ビットのシステムになっている」(ImPactにおけるプログラム・マネージャーである山本喜久氏)という。

1)野澤,「16qubitsの量子コンピュータ,カナダのベンチャーが開発」,『日経エレクトロニクス』、2007年3月12日号,pp.32-33.

 一方、QNNはすべての量子ビットを実質的に結合させることが可能で結合数は最大400万本。「2000Qでは入力できない問題も扱える」(山本氏)という。

 QNNの特徴は、(1)上記のように量子ビットの全結合が可能なこと、(2)「位相感応増幅器」を用いて量子ビットのエラーを自然に訂正する仕組みを備えており、人工的なエラー訂正が不要なこと、(3)常温で動作すること、(4)さらなる規模拡張も比較的容易なこと、(5)解を得る手法として、D-Wave社の量子アニーリングとは異なる、「局値解」に捕まりにくい手法を用いていること、などだ。

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