人工流れ星の開発を進めているALE(本社東京)は、オフィシャルパートナーの記者発表に伴い、開発中の流れ星の基になる“粒”や人工衛星の概要と開発状況を明らかにした(関連記事)。ALEの人工流れ星は、打ち上げ代行サービスを利用して自社開発の人工衛星(ALE SAT)を軌道に投入し、そこから放出した流れ星の基となる“粒”を大気圏に突入させて光らせるというもの。2018年末~2019年初頭にALE SATを打ち上げ、2019年の実施を計画している。

放出の速度、角度、タイミングがカギ

図1 太陽同期軌道への投入
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図1 太陽同期軌道への投入
 ALE SATを投入するのは、北極と南極を通る円軌道の1つである太陽同期軌道。人工衛星の軌道面と太陽の相対的な位置関係が一定の軌道で、ALE SATは高度約400kmの同軌道を速度7.7km/sで飛行する計画となっている。これは地球を90分で一週(1日に16周)する速度。特定の地域の上空を同じ時間に通過するので、毎回同じ時刻に流れ星を発生させられるという(図1)。

図2 粒の放出
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図2 粒の放出
粒を正確な速度と角度、タイミングで放出する必要がある。粒は15分ほどで大気圏に突入する。
 安定した周回軌道に乗ったら、人工衛星の進行方向とは逆方向に角度と速度を制御して粒を放出する。例えば、四国上空で発光させる場合、オーストラリア上空で放出するという(図2)。粒は15分ほどかけて大気圏に突入し、徐々に高度を下げて高度60kmあたりで光る。ただし、狙った地域で狙った時刻に流れ星を発生させるためには、粒を放出する速度と角度、タイミングを高精度で制御する必要がある。「長い距離を飛ぶので放出時の精度が重要」(同社CTOの桒原聡文氏)なのだ。