米Autodesk社は2018年中ごろに、ジェネレーティブ・デザイン機能を持つソフト「Autodesk Generative Design(AGD)」をクラウド・サービスとして提供する。米国ラスベガスで同社が開催した「Autodesk University 2017」(2017年11月14~16日)で明らかにした。会期中の11月15日には、テスト(テックプレビュー)版をクラウドベースのCAD「Fusion 360 Ultimate」のユーザーに対して開放し、無償で評価目的の利用ができるようにした。ほぼ完成品として扱える機能にしているが、さらにユーザーの要望や意見に応じて改良していくという。

形状合成機能で多数の設計案を導出

 AGDの機能は、ジェネレーティブ・デザインの中でも「フォーム・シンセシス(形状合成)」と呼ばれるもの。ユーザーの指定する要求条件に対して、複数の設計案を生成するのが特徴だ。

 利用する際はまず、3D-CADで作成した形状を取り込む。この形状は3次元空間の中で設計対象部品の取り付け位置と、部品が干渉してはいけない領域を指定する目的のもの(図1)。従って、部品外側の空間の一部を占める形状であり、部品自体の形には似ていない。

図1 3次元の設計空間を定義
図1 3次元の設計空間を定義
赤色の部分は部品が干渉してはいけない部位、緑色は部品の取り付け位置(他の部品やアセンブリとの接触点)を示す。さらに質量、応力、変位など最適にしたい仕様項目を指定し、さらに3Dプリンターか切削加工かといった製造方法、材料の候補(複数)を入力する。
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 次いで、ユーザーは部品にかかる荷重と、設計上で最適にしたい質量、応力、変位などの仕様項目を指定し、さらに3Dプリンターか3軸加工か、5軸加工か、射出成形かといった製造方法、材料の候補(複数)を入力する。AGDはこれらの指定に基づいて、複数の設計案を生成し、ユーザーに提示する(図2)。「ユーザーが気付いていないような案も含めて、複数の案によってできるだけあらゆる可能性を網羅する」(同社シミュレーション製品担当副社長のGreg Fallon氏)ことを目的としている。

図2 AGDが複数の設計案を提示
図2 AGDが複数の設計案を提示
さまざまな設計の可能性を網羅する。設計案の個数はあらかじめユーザーが指示する。
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