「日本のスポーツ界で初となるアクセラレータ(ベンチャー企業の事業拡大支援)事業。横浜市民、ファン、スポンサー企業などに対してこれまでにないスポーツ体験を提供するとともに、横浜市の地域経済活性化に貢献したい」

横浜DeNAベイスターズの岡村信悟社長
横浜DeNAベイスターズの岡村信悟社長
[画像のクリックで拡大表示]

 横浜DeNAベイスターズは、スポーツ分野で事業を展開するベンチャー企業を発掘・協業する新事業「BAYSTARS Sports Accelerator(ベイスターズ スポーツアクセラレータ)」を2017年12月に開始する。ベイスターズが保有する選手を始めとするさまざまなデータや外部とのネットワーク、さらに資金をベンチャー企業に提供するなどして強固に連携し、新たなスポーツ事業の創出を目指す。同社の岡村信悟社長は、冒頭のように今回の事業の目的を述べた。

 12月に応募を開始し、2018年1~2月の審査を経て、2月以降にプログラムを開始する。応募に特に条件は設けないが、「スポーツ事業に本気で取り組んでいるベンチャーが対象。支援ではなく対等なパートナーとして、次なる産業を共創したい」(岡村氏)。

 運営には、ベンチャーキャピタルのiSGSインベストメントワークスが協力する。主に資金提供面などを担う。投資規模や期間などについて目標値は定めていない。「『型』を決めると自由度がなくなってしまう。当初は採択企業がゼロの可能性もある。ただし、プログラムは続けていきたいし、2020年をメドに何らかの成果を出したい」(横浜DeNAベイスターズ 執行役員経営企画本部本部長の木村洋太氏)としている。

目指すは「スポーツ産業のシリコンバレー」

 横浜DeNAベイスターズは2017年1月、ベイスターズを始めとするDeNAグループが有するスポーツリソースを中心に、横浜市や外部のパートナー企業とともに街づくりや産業創出を推進する「横浜スポーツタウン構想」を発表している。

2017年1月に発表した「横浜スポーツタウン構想」の概要(図:横浜DeNAベイスターズ)
2017年1月に発表した「横浜スポーツタウン構想」の概要(図:横浜DeNAベイスターズ)
[画像のクリックで拡大表示]

 今回のスポーツアクセラレータは、それをさらに推し進めるものだ。歴史を振り返ってみても、米Google社しかり、米Tesla社しかり、新しい産業を生み出すのは、既成概念に縛られずに新サービスを矢継ぎ早に繰り出すベンチャー企業である。

 成長産業として期待が大きいスポーツ分野で多くのベンチャー企業が生まれている今こそ、ベイスターズが持つアセットを使って新たなビジネスを創出できると判断した。「横浜をスポーツ産業のシリコンバレーにしたい」と、岡村氏は夢を語る。

   実は、プロスポーツチームによるベンチャー支援事業は世界的な潮流となっている。先頭を切ったのは、米メジャーリーグのロサンゼルス・ドジャース。2015年に「Dodgers Accelerator」を開始した。今年になって、サッカースペインリーグのFCバルセロナが「Innovation Hub」、英プレミアリーグのアーセナルが「Arsenal Innovation Lab」を立ち上げるなど、世界の著名チームが相次いで参入している。