英Arm社は、スマートフォンのディスプレー表示に向けたIPコアセット「Arm Display Solution」を発表した(日本語ニュースリリース)。スマートフォンを使ってのVR(Virtual Reality)の実現や、屋外でも見やすいHDR(High Dynamic Range)コンテンツの表示、マルチウインドウ表示などを狙ったもの。

Arm Display Solution(図中のオレンジ色の部分)は3つのIPコアからなり、アプリケーションプロセッサーICに搭載される。図中のAD-5は「Assertive Display 5」を表す。Armの図。
Arm Display Solution(図中のオレンジ色の部分)は3つのIPコアからなり、アプリケーションプロセッサーICに搭載される。図中のAD-5は「Assertive Display 5」を表す。Armの図。
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 3つのIPコアからなる。ディスプレー表示処理IPコアの「Mali-D71」、システムメモリー管理IPコアの「CoreLink MMU-600」、リアルタイムの表示調整IPコアの「Assertive Display 5」である。Arm Display Solutionは、スマートフォン向けアプリケーションプロセッサーICのディスプレー出力の直前で処理を行う。

Komedaアーキテチャーの最初の製品

 「Mali-D71」は、同社のディスプレー表示処理の最新アーキテクチャー「Komeda」に沿った最初のIPコアである。既存のディスプレー表示処理IPコアの「Mali-DP650」の上位製品に当たる(関連記事)。Mali-D71はコンポジションやローテーション、スケーリングなどの画像処理を行うハードウエアを備えており、GPUコアの処理負荷を軽減する。このディスプレー表示処理IPコアを適用することで、システムの消費電力を30%削減するという。

「Mali-D71」の機能ブロック図。Armの図。
「Mali-D71」の機能ブロック図。Armの図。
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 またMali-D71は、Mali-DP650に比べて面積当たり2倍の処理性能を持つ。さらに、メモリーサブシステムの最適化によって、Mali-D71は、Mali-DP650に比べて最大で4倍のシステムバス上のレイテンシーを許容できる(すなわち、システムバス上のレイテンシーが4倍になっても、同じスループットを確保できる)。また、「サイド・バイ・サイド」と呼ぶモードで実行することで2倍のピクセルスループットを達成可能だという。

 以上のような高い処理性能を低い消費電力で提供できることから、Mali-D71を利用すれば、4K解像度・120フレーム/秒の速度でのVRをスマホで実現可能になるという。