米Pointwise社Executive Vice PresidentのRichard J Matus氏は、流体解析用のメッシュ分割ツール「Pointwise」の機能を並列処理の適用により自動化・高速化する開発方針について明らかにした。2017年終わりから2018年初めに提供するバージョン(18.1)から順次機能を盛り込む。メッシュ分割は自動化が難しく、人手の操作を伴うことから時間がかかり、大規模な流体解析計算を実行する上での課題になっている。「これまでも自動化に向けて努力を続けており、いきなり完全自動化を達成するのは無理でも、今後かなり進展する見込みが立っている」(Matus氏)という。

 開発する機能の1つは、流体の流れる領域を「トップダウンでボクセルにより分割」(同氏)する「Automated Voxel Meshing(自動ボクセルメッシュ分割)」。現在の通常の方法では、例えば航空機の周囲の空気をモデル化するとき、航空機の表面を細かく区切り、それに厚みを付ける形で中から外へと“ボトムアップ”にメッシュを生成していき、解析の対象となる空間を埋める。「しかしこの処理は並列に実行しにくい」(同氏)。

 そこで、航空機表面からのメッシュ生成を航空機の近くにとどめる一方、解析空間を外から中へと立方体ボクセルで区切っていく。この処理は解析空間を領域で分けて、並列で実行させやすい。解析空間がボクセルで航空機表面付近まで埋まると、ボクセルとメッシュが重なるので、その部分ではボクセルを小さくして、だいたいメッシュと同じ大きさになるようにする(図1)。こうしておいて、複数のメッシュを同じ空間に相互に重ね合わせて使う技術を併用して解析計算を進める(関連記事)。この機能は「次期バージョンで利用可能にする予定」(同)だ。

図1 Automated Voxel Meshingの画面
図1 Automated Voxel Meshingの画面
中央に航空機の胴体と、その表面から広げたメッシュが見える。
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