車載半導体で業界1位(米Strategy Analytics社、2016年)のオランダNXP Semiconductors社は、車載MCU/MPUを一新する(ニュースリリース)。全製品のCPUコアを英Arm社製に統一し、共通プラットフォームをベースに設計した。これによって、ユーザーは単一の環境で全製品のアプリケーションを開発できるようになる。新MCU/MPUとそのアプリケーション開発環境を合わせて、同社は「S32 Processing Platform」と呼ぶ。

Ross McOuat氏。日経テクノロジーオンラインが撮影。
Ross McOuat氏。日経テクノロジーオンラインが撮影。

 来日した同社のRoss McOuat氏(Vice President, Marketing and Distribution, Automotive Microcontrollers and Processors)によれば、同社が車載MCU/MPUを一新した背景には、クルマのコンピューティング・アーキテクチャーの変化がある。従来は各ECU(Electronic Control Unit)は緩くつながっているだけで、基本的に独立して稼働していた。一方、将来の自動運転車では、中央制御を司るCPUを中核にして、ほとんどのECUが連携動作する。「ECUに載るMCU/MPUはこのアーキテクチャーの変化に対応する必要がある」(同氏)。新しいアーキテクチャーに対応するNXPの製品がS32 Processing Platformである。

* MCUとMPUの違いは、コードメモリーの混載/外付けなどにある。フラッシュメモリー(やROM)などのコードメモリーを混載したのが典型的なMCU。コードメモリーを外付けDRAMに格納するのが典型的なMPUである。
クルマのコンピューティングアーキテクチャーが変る。NXPのスライド。
クルマのコンピューティングアーキテクチャーが変る。NXPのスライド。
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 現在、同社の車載向けMCU/MPUは、ARMコアやPOWERコアなど、複数種類のCPUコアをベースにした製品がある。各ECUが独立動作する従来のクルマではこれでも良かった。自動運転車に対応する、新しい車載向けMCU/MPUは、連携動作が必須となる。そこで、S32 Processing PlatformのMCU/MPUでは、CPUコアを英ARM社製品に統一した。「Cortex-M」、「Cortex-R」、「Cortex-A」をベースにする製品があるが、すべて共通プラットフォームをベースに設計している。これによって、Cortex-Mコアを中核にしたパワーウインドウ処理向けMCUから、複数のCortex-Aコアを中核にしたADAS/自動運転向けMPUまで、ユーザーは単一の開発環境でアプリケーションを開発できる。