マイクロ波化学の吉野巌氏(左)と三井化学のの福田伸氏(右)
マイクロ波化学の吉野巌氏(左)と三井化学のの福田伸氏(右)
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 三井化学は、大阪大学発のベンチャー企業であるマイクロ波化学(本社:大阪市)に出資し、戦略的提携を結んだ。マイクロ波化学が得意とする、マイクロ波を活用した化学プロセス技術の共同開発を行う。なお、出資額は非公開である。

 マイクロ波化学は、物質中の特定の分子にマイクロ波によって直接エネルギーを与えて、化学反応を起こす「マイクロ波製造技術」を手掛ける。物質全体に熱を伝える従来の化学反応ベースの製造法に比べて、エネルギー消費量や製造設備の敷地面積を大幅に削減できることが特徴である。加えて、これまで実現が難しかった品質の高い材料も製造できる。

 利点が多いマイクロ波製造技術だが、化学反応のばらつきなど、量産に向けた課題があり、長らく「実験室レベル」にとどまっていた。こうした課題を解決し、工業化で先行するのがマイクロ波化学である(関連記事)。同社は、自社工場で製造した材料を出荷している他、複数の大手企業との共同開発を進めてきた。だが今回は、「これまでの提携よりも、さらに一歩進んだ形。三井化学との提携で、我々がこれまで想像しなかった分野へ、マイクロ波の活用が進むのではないかと期待している」(マイクロ波化学 代表取締役社長 CEOの吉野巌氏)と語った。