ブリヂストンは、あらゆるモノがネットにつながるIoTの技術開発を加速させている(図1)。2017年1月には「デジタルソリューションセンター」と呼ぶ社内組織を発足。従来各部署に分かれていたデジタル部門を統合することで機能を強化。2017年夏時点で50名の人員を揃え、さらなる組織規模の拡大を見込む。狙うは自動運転や電気自動車(EV)に適した次世代のタイヤ開発だ。IoTを取り入れた“賢いタイヤ”で競合他社との差異化を図る。

図1 ブリヂストン、写真は研究開発の中枢である技術センター
図1 ブリヂストン、写真は研究開発の中枢である技術センター
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 同社は長年に渡ってタイヤのIoT開発を進めてきた。それが2011年9月に発表した「CAIS(カイズ)」である(図2、3)。同システムの導入によって、走行する路面の状態やタイヤに加わる荷重の大きさを把握できるようになる。

 検知の“カギ”となるのは、タイヤ接地面の裏側に搭載するセンサーだ。これによりタイヤの歪みや温度、圧力や加速度などを検出できるようになる。得られた情報は、無線通信で車両に搭載した解析装置に送信する仕組みだ。路面状態は水分量や積雪量、凍結度などに応じて七つに区分できる。自動車メーカーの要望にあわせて、センサーの搭載個数を増やして検出精度を高めることを検討する。

 路面の状態を把握できれば、急制動時の滑りを減らすように制御しやくすなる。タイヤの空気圧や加速度情報を使えば摩耗状態も分かるようになり、タイヤ交換の時期を運転者に知らせられる。

図2 「CAIS(カイズ)」はセンサーを接地面の裏に取り付ける
図2 「CAIS(カイズ)」はセンサーを接地面の裏に取り付ける
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図3 路面の状態やタイヤの摩耗などを検知できる
図3 路面の状態やタイヤの摩耗などを検知できる
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