「ネットワークの誤設定により、インターネットサービスにアクセスしづらくなる障害が発生した。ご不便、ご心配をおかけしたことをお詫びする」――。2017年8月25日昼ごろ日本国内で発生した大規模な通信障害。これについて米グーグルが、原因となる誤設定があったと、謝罪の意を8月26日に表明した。

 当初より識者の間では、「グーグルから送られてきた大量の経路情報が引き金になったのではないか」との見方が強かった。実際にその通りだったわけだ。

 とりわけ大きな影響を受けたのが、NTTコミュニケーションズとKDDI、そしてこの両社の通信サービスを利用していた法人・個人だ。インターネットの接続から各種ネットサービス、金融取引、モバイルSuicaのような決済サービスにまで影響が及んだ。

 ただグーグルは、同社がいう「ネットワーク誤設定」が、人為的ミスなのか、ソフトや機器の不具合によるものなのかまでは明らかにしていない。そして、「8分以内に情報を更新した」としている。

 米グーグルのわずか8分間の「誤設定」が日本の通信インフラを揺るがしたことになる。

 なぜ、このような事態に陥ったのか。そして、再発の恐れはあるのだろうか。

全てのインターネットを上回る大量の経路情報が誤配信された

 グーグルは世界各地にデータセンターを所有し、それらをつなぐ巨大なネットワークを運用している。こうした大規模ネットワークを運用する企業や通信事業者は、他社とお互いに通信するために「経路情報」をやり取りしている。このとき使用するのが「BGP(Border Gateway Protocol)」だ。インターネットは、こうした大規模ネットワークを相互接続することで成り立っている。

通信事業者など大規模なネットワークを運用する企業は経路情報をやり取りしている
通信事業者など大規模なネットワークを運用する企業は経路情報をやり取りしている
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 今回の通信障害では経路情報が誤っており、一部のサービスで通信するルートが変わってしまった。NTTコミュニケーションズは、ITproの取材に「(同社が運営するインターネット接続サービス)OCNと接続している他事業者で大量の経路変動が発生した」と回答している。