グラフィックスAPI「OpenGL」で知られている米Khronos Group。最近はさまざまな分野に首尾範囲を広げている。現在策定中の2つの規格などについて、KhronosのPresidentを務めるNeil Trevett氏(米NVIDIA社、VP Developer Ecosystem)に話を聞いた。同氏は「CEDEC 2017」(2017年8月30日~9月1日に横浜市で開催)の講演などのために来日した。

Neil Trevett氏(左端)。日経テクノロジーオンラインが撮影。スクリーンは同氏が見せた1枚目のスライド。
Neil Trevett氏(左端)。日経テクノロジーオンラインが撮影。スクリーンは同氏が見せた1枚目のスライド。
[画像のクリックで拡大表示]

 同氏が取材の際に見せた1枚目のスライドには、25年の歴史があるOpenGLを筆頭に8つの規格のロゴが並んでいた。そのOpenGLは、2017年7月のSIGGRAPH 2017において最新版のOpenGL 4.6が発表された。4.6版では、Khronosが仕様策定した並列計算およびグラフィックスの中間言語「SPIR-V」のシェーダーを取り込むなどの拡張が行われた(日本語ニュースリリース1)。その下にはOpenGLの次世代版と位置付けるVulkanのロゴがあった。昨年のインタビューで同氏はVulkanの優位性などを説明した(関連記事:車載向けグラフィックスはどうなるのか、Khronosに聞く)。

VR/ARにおけるインターオペラビリティーの確保を狙う。Khronosのスライド。
VR/ARにおけるインターオペラビリティーの確保を狙う。Khronosのスライド。
[画像のクリックで拡大表示]

 8つのロゴの中には、現在策定中で正式版がまだ公表されていない規格が2つある。「OpenXR」と「NNEF」である。このうち、OpenXRは、VRやARの普及促進を狙ったものだ。かつてのグラフィックスのように、VR/ARでは、VR/AR機器やソフトウエアエンジン(開発ツール)ごとにアプリケーションを開発する必要がある。そこで、Khronosでは、ゲームエンジン(ゲーム開発ツール)とVRプラットフォーム間に「OpenXR Application Interface」、およびVRプラットフォームと機器間に「OpenXR Device Layer」という2つを規格化して、アプリケーションと機器の間のインターオペラビリティーの確保を狙う。

 OpenXRはまずVRに焦点を合わせた規格に取り組む。そのためのイニシアティブの設立は2016年12月に発表されている(日本語ニュースリリース2)。Trevett氏によれば、2018年の上半期にはOpenXR 1.0が公開される予定だという。