フランスの化粧品としておなじみの「ランコム」、現在口紅が大人気の「イヴ・サンローラン・ボーテ」、プチプラコスメの定番「メイベリン ニューヨーク」……。これらは1つの化粧品メーカーのブランドとご存知だろうか。こうした有名ブランドを多数持ち、従業員約8万9300人を抱える“化粧品業界の巨人”が、仏L'Oreal社率いるロレアルグループである。

日本ロレアル リサーチ&イノベーションセンター 製品評価部 セクションマネジャーのAlexandre Nicolas氏(右)と機器評価エキスパートのCarl Blaksley氏(左)。
日本ロレアル リサーチ&イノベーションセンター 製品評価部 セクションマネジャーのAlexandre Nicolas氏(右)と機器評価エキスパートのCarl Blaksley氏(左)。
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DMM.make AKIBAに研究員を派遣

 同グループの日本法人である日本ロレアルは、「日本最大のモノづくり支援施設」をうたうDMM.make AKIBAと2016年12月にスポンサー契約を締結、2017年1月から研究員を1人派遣し、研究用測定機の開発を行っている。

 さらに2017年8月19日(土)~27日(日)の3日間に渡り、日本初の「ビューティーハッカソン」を開催する(応募申し込みサイト、締切は2017年7月31日)。IoTの技術を活用し、化粧品の効能や効果を評価・共有する手法のアイデア出しとプロトタイプの開発を競うイベントだ。

 運営はDMM.make AKIBAが担当し、ネット部品調達サービスなどを手掛けるアールエスコンポーネンツが基板や各種センサーを提供するパートナー企業として参加、講談社の理系女子応援サービス「Rikejo」が協力するなど、イベント自体が異業種連携となっている。

 華やかで感性の世界と思われる化粧品業界での「測定」「評価」と言っても、ピンとこない人もいるだろう。ロレアルグループは従来、いわば化学系メーカーとして原材料などの研究・分析・評価に取り組んできた。消費者向け製品のメーカーとして、ユーザーの使用状況や製品の効果などに関する研究・評価にも高い実績がある。

 ロレアルグループの2016年の研究開発予算は8億5000万ユーロ、日本円にして約1100億円にのぼる。1兆円超の投資を続けるトヨタ自動車などの大手自動車メーカーや、数千億円を投資する総合電機メーカーなどに比べれば額は小さいが、ルネサス エレクトロニクスの2016年度の研究開発費974億円と比べるとそん色ない*1