デンソーの阿部 孝司氏(基盤ハードウェア開発部 担当課長)が「CDNLive Japan 2017」(日本ケイデンス・デザイン・システムズ社とイノテックが2017年7月21日に横浜で開催)に登壇し、自動車部品メーカーとして本当に必要な車載マイコンの仕様を見出す技術がほぼ完成したことを明らかにした。この技術によって、車載マイコンを使う自動車部品メーカーと、車載マイコンを開発する半導体メーカーの双方の不満を解消することを目指す。

 講演の冒頭で阿部氏が指摘したように、市場には多数の車載マイコンがある。同氏は「これだけ多数のチップを開発するのは大変だろう」と半導体メーカーに同情を示すも、自動車部品メーカーとして本当に欲しい車載マイコンが見当たらないという。両者が不幸なこの事態に陥る背景として、同氏は両者のこんなやりとりを紹介した。

 半導体メーカーは次世代マイコンのスペックを決めるために、自動車部品メーカーの要望を聞く。しかし、その時点では自動車部品メーカーは次世代マイコンに載せるであろうソフトウエアを開発していないため、きちっりとした要望を示すことができない。そこで、ありがちな答えをてしまう。「今の車載マイコンよりも高性能で安価にして欲しい」などと。そして、半導体メーカーは独自の予想に基づいて、例えば、特定の機能をハードウエア(アクセラレーター)にした次世代マイコンを開発する。要望がよく分からないので、やたらと品種をそろえる。