ファイアウオールを含むUTM(Unified Threat Management:統合脅威管理)装置メーカーの米Fortinet社で、同装置向けの独自ASICを開発する日本人エンジニアに話を聞いた。競合は市販の汎用プロセッサーIC(x86マイクロプロセッサーICなど)をベースにすることが多い中で、独自ASICにこだわる理由や、そのメリット、開発の工夫などを語った。

坂東正規氏。日経テクノロジーオンラインが撮影。
坂東正規氏。日経テクノロジーオンラインが撮影。
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 Fortinetが見せた米IDCの調査結果によれば、日本国内のUTM装置市場でFortinetは2004年から2016年まで13年連続でシェアが1位だという。台数ベースでは5割を超える。「オフィスで複合機の脇に置かれているケースが多い」(日本法人のフォーティネットジャパン)。ある業界通によれば、Fortinetの製品(FortiGateシリーズ)は細かな設定が可能で、ネットワーク管理者の評価が高いという。また、独自開発ASICのおかげで、高性能で低消費電力な点も特徴になっている。

日本国内のUTM装置市場(左)とFortinetのUTM装置「FortiGate」の製品例(右)。左は米IDCのデータ。右はFortinetの写真。
日本国内のUTM装置市場(左)とFortinetのUTM装置「FortiGate」の製品例(右)。左は米IDCのデータ。右はFortinetの写真。
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 今回、話を聞いた坂東正規氏はFortinetの米国本社があるシリコンバレーのSunnyvaleでPrincipal ASIC Design Engineerとして働いている。Fortinetは2000年にKen Xie氏が創立した。同氏は現在もChairman of the Board, and Chief Executive Officerとして同社を率いる。初の製品出荷は2002年で、その製品には、同社初の独自ASICが搭載されている。同社が独自ASICにこだわるのは、Xie氏の方針だと坂東氏は言う。Xie氏がハードウエア好きのようだ。独自ASICを使うことで、汎用IC(x86プロセッサーICなど)を使う場合に比べて、消費電力を1/10に、性能を20倍にできるという。