労働者不足が深刻化する中、安全柵なしで人と一緒に働ける「協働ロボット」への関心が高まっている。これまでも産業用ロボットを使いこなしてきた大手メーカーの工場のみならず、中堅・中小メーカー、さらには飲食業界や医療分野など、これまで産業用ロボットと縁の無かった企業も導入に動き出すなど、従来の枠を越えて市場拡大が期待されている。そこでニーズが高まっているのが、協働ロボットの導入支援サービスだ。

6カ月の“お試し”評価

 オリックス・レンテック(本社東京)は、2017年1月にロボットのショールーム「Tokyo Robot Lab.」(東京都町田市)を開設した。複数の協働ロボットを展示するとともに、レンタル導入サービスロボットレンタルサービス「RoboRen」事業に力を入れている。例えば同年4月からは、ファナックの協働ロボット「CR-35iA」や「CR-7iA」「CR-7iA/L」「CR-4iA」とロボットハンドなどをセットで貸し出すサービス「グリーンロボットお試しレンタルパック」の提供を開始した。安全センサーやロボットハンドを備えた協働ロボットを半年間試用してもらうことで、使い勝手や有効性を検証を評価してもらうというものだ。この他、RoboRenではファナックのCRシリーズ以外にも、スイスABB社の「YuMi」やデンマークUniversal Robots社の「UR」シリーズ、ライフロボティクス社の「CORO」などを貸し出している。
図1 ファナックの「CR-35iA」(左)とABB社の「YuMi」
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図1 ファナックの「CR-35iA」(左)とABB社の「YuMi」
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図1 ファナックの「CR-35iA」(左)とABB社の「YuMi」
図2 Universal Robots社の「UR」(左)とライフロボティクスの「CORO」
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図2 Universal Robots社の「UR」(左)とライフロボティクスの「CORO」
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図2 Universal Robots社の「UR」(左)とライフロボティクスの「CORO」

 同社がこうした事業に力を入れる背景には、「国内メーカーでの人材不足が深刻化している。特に地方の工場などから、人材難への対応策として人の代わりに作業させたいとの声が多い」(同社事業開発本部副担当兼新規事業開発部長の戸川英明氏)ことがある。そのニーズは製造業にとどまらない。Tokyo Robot Lab.に訪れる人の業種は幅広く、3品業界(食品、医薬品、化粧品)や小売り業者、ホームセンターなど、さまざまな業界からも問い合わせがあるという。

 戸川氏は、「いろいろな協働ロボットあるが、導入を考えている企業はどれを選べばいいのか、ロボットハンドはどんなものがいいか分からないため、複数の協働ロボットを検討したいとの要望が多い。新しい種類のロボットなので、“お試し”というサービスが適している」とみている。

 ただし、導入に当たって課題となるのが安全性。特にこれまで産業用ロボットを利用したことのないユーザーは、使い方はもちろん、安全性の評価の仕方についてノウハウを持っていない。戸川氏によると「Tokyo Robot Lab.に来て操作性などを評価してから選んでいる企業が多い。その際、来訪者には簡易トレーニングの中で安全やリスクアセスメントについて講義している」という。