IoT調光ガラスを開発するベンチャーの米Kinestral Technologies社(以下、Kinestral社)CEOであるS.B. Cha氏が日経テクノロジーオンライン記者と会見し、「日本ではオフィスや住居のインテリア/エクステリアとしての利用を見込んでいる」と日本市場での展開への意気込みを語った(図1)。
Kinestral社の電子調光ガラス「HALIO」(ヘイリオ)は、濃い褐色(ダーク)から透明まで無段階に調光可能で、調光にかかる時間が短いのが特徴だ。「通常の大きさのガラス窓なら数分以内に調光できる」(同氏)。数十分を要する既存の電子調光ガラスに比べて、10倍ほど速いという。一旦調光すれば、後は通電なしでその状態を維持出来る(図2)。
HALIOは、リチウムイオン2次電池に近い構造をしている。酸化インジウムスズ(ITO)による透明電極(TCO)を形成した2枚のガラスの表面に、それぞれ厚さ100μm程度のアノードとカソードをコーティング形成。その2枚のガラスで特殊なイオン導体の層を挟み込んでいる(図3)。全体の厚さは1mm程度。電圧を印加するとイオン導体中をリチウムイオンが移動して透明度が変わる仕組みだ。「独自に開発したアノード、カソード、イオン導体が技術的な強み」(Cha氏)だ。ガラスは、透明度・平滑度が高いディスプレー用の高品質ガラスを採用しているという。