「2015年度420億円だった『パブリックセーフティ事業』を、2018年度に1420億円に成長させる」――。

 NECは、米国国立標準技術研究所(NIST)の動画顔認証技術のベンチマークテスト(FIVE)において、首位の性能評価を獲得。これに合わせて2017年3月16日に開催した報道機関向け発表会で、NEC 執行役員の山品正勝氏は冒頭のように意気込んだ。

NECの山品正勝氏
NECの山品正勝氏
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NISTの静止画の顔認証テストで、2009年と2010年、2013年と3回首位を獲得してきた
NISTの静止画の顔認証テストで、2009年と2010年、2013年と3回首位を獲得してきた
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 パブリックセーフティ事業は、映像監視や入退出管理、バイオメトリクス認証といった安全・安心を確保するための技術やシステムなどを提供する海外向けビジネスを指す。同事業の成長エンジンとしてNECが期待するのが顔認証技術である。NECはこれまで、NISTの静止画の顔認証テストで、2009年と2010年、2013年と3回首位を獲得してきた。2017年から静止画から動画の顔認証に代わり、今回で4回目の首位獲得になる。2009年の首位獲得を契機に、NECの顔認証技術に注目が集まり、「事業拡大につながった」(NEC データサイエンス研究所 主席研究員の今岡仁氏)という経緯がある。それだけに、今回の動画顔認証技術のベンチマークで首位を獲得したことで、NECは更なる事業拡大を期待している。

NECの今岡仁氏
NECの今岡仁氏
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 動画の顔認証技術は、監視カメラを意識せずに動いている被写体の顔をリアルタイムに認証するもの。様々な施設に設置されている一般的な監視カメラで撮影した動画での顔認証は、環境条件(カメラの設置場所、カメラの画質、光の当たり方、被写体の大きさなど)や被写体の動作条件(歩行速度、顔の向き、視線など)の影響を受ける。このため、カメラの前に立ち止まり、静止した状態で撮影して行う顔認証よりも高度な技術が必要になる。

動画と静止画の顔認証の違い
動画と静止画の顔認証の違い
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