エンジン用の点火プラグなどを手がける日本特殊陶業は、セラミックス技術に強みを持つ。ただ、エンジン用の部品には逆風が吹いていることから、セラミックス技術を活かした新規事業の開拓を進めている。次世代自動車向けの全固体電池や、耐熱性に優れた蛍光体の開発などだ。執行役員 技術開発本部本部長の小島多喜男氏に取り組みを聞いた。

日本特殊陶業 執行役員 技術開発本部本部長の小島多喜男氏
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日本特殊陶業 執行役員 技術開発本部本部長の小島多喜男氏
 同社の連結売上高3729億円(2017年3月期)のうち、約52%を点火プラグ、約33%を排気ガス用のセンサー、約15%を半導体パッケージや機械工具が占める。三菱UFJモルガン・スタンレー証券が2016年10月に発表したレポートによると、日本特殊陶業は電気自動車(EV)で不要になる部品への売上依存度が85%と高い。これはプラグとセンサーを合わせた自動車関連事業が全体の約85%を占めることを指している。内燃機関のないEVでは、プラグもセンサーも不要になる。

 ただ、内燃機関を搭載するハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)はこの先も伸びるため、「プラグやセンサーの需要はまだ伸びる」(小島氏)という。プラグやセンサーの需要がピークアウトする時期は「2040年ごろ」(同氏)と見ている。「だからと言って安心するのではなく、自動車関連事業で利益が出ている今のうちに全固体電池などの新規事業の創出を進める」(同氏)。

 同社が取り組む新規事業の領域は大きく三つある。(1)環境・エネルギー、(2)医療、(3)次世代自動車である。