ホンダ系部品メーカーのケーヒンは、自動車業界で進む電動化の影響について、「むしろチャンス」(取締役 常務執行役員 開発本部長の阿部智也氏)と述べた。電動化で重要性が増す「パワー・コントロール・ユニット(PCU)」や「バッテリー・マネジメント・システム(BMS)」の技術力を強みに中国市場などで攻勢をかける。

ケーヒン 取締役 常務執行役員 開発本部長の阿部智也氏
ケーヒン 取締役 常務執行役員 開発本部長の阿部智也氏
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 同社は2輪および4輪のパワートレーン系部品を手がける。4輪の売上構成比は電子燃料噴射(FI)システムなどのエンジン系機構部品が約4割、エンジン用電子制御ユニット(ECU)やハイブリッド車(HEV)用ECUなどの電子系部品が約3割、空調系部品が約3割を占める。

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券が2016年10月に発表したレポートによると、ケーヒンは電動化で不要になる部品への売上依存度が約3割と高い。この点に関し阿部氏は、「電気自動車(EV)で不要になる部品の売上高が約3割を占める。ただ、2030年に向けて電動化がかなり進んだとしても、EVのほかにHEVやプラグインハイブリッド車(PHEV)もあり、エンジン系の部品は依然として必要になる」と述べた。また、エンジン向けのFIシステムやECUが不要になったとしても、「それよりもはるかに単価が高いPCUやBMSが売れれば、事業的にはプラスになる。このため、電動化は我々にとっては、むしろチャンス」(同氏)と述べた。

 逆にエンジン系部品はコモディティー化が進んでおり、「競争が激しい」(同氏)という。コストを下げるためには数を稼ぐ必要がある。それに比べてPCUなどの電動化部品は発展途上にあり、「工夫次第でリードできる。非常に大きなチャンスと捉えている」(同氏)。今後は電動化の分野にリソースを投入していく考えだ。「直近ではガソリンエンジン車が急激に減る兆候はない。その間にしっかり既存事業を進め、その収益で電動化の仕込みをする。このサイクルをうまく回したい」(同氏)。