菱電商事は、2波長(850nm、940nm)の近赤外線カメラを使って運転者の瞳孔を高速・高精度に検出する技術を静岡大学と共同開発した。運転者の視線や顔の向き、瞳孔径、瞬きなどを検出でき、運転者の状態監視に利用できる。「オートモーティブワールド 2018」(2018年1月17日~19日、東京ビッグサイト)に出展した。

 それぞれの波長で捉えたカメラ画像の差分を利用することで、瞳孔の状態を高速・高精度に検出できるという。複雑な画像処理を必要としないため、安価なマイコンでも処理できる。240フレーム/秒の検出速度に対応する。2021年以降に販売する車両への搭載を目指す。次世代品では、ニューラルネットワーク技術を組み合わせ、運転者の眠気や気分なども識別できるようにする方針だ。

2波長(850nm、940nm)の近赤外線カメラで運転者の瞳孔を検出する。
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2波長(850nm、940nm)の近赤外線カメラで運転者の瞳孔を検出する。
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2波長(850nm、940nm)の近赤外線カメラで運転者の瞳孔を検出する。
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2波長(850nm、940nm)の近赤外線カメラで運転者の瞳孔を検出する。

 同社はカメラ映像から脈波を抽出し、心拍数や血圧を推定する技術も展示した。東北大学サイバーサイエンスセンター教授の吉澤誠氏による学術指導を受けて開発したもので、血液中のヘモグロビンが緑色をよく吸収する性質を利用し、画像センサーの緑色フィルター画素の輝度から脈波を抽出する。これまでは信号にノイズが多く、実用化が難しかったが、その課題を解決したという。

画像センサーの緑色フィルター画素の輝度から脈波を抽出する。
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画像センサーの緑色フィルター画素の輝度から脈波を抽出する。
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画像センサーの緑色フィルター画素の輝度から脈波を抽出する。