三菱電機は自動車の電子ミラーで100m後方の車両を高精度に認識できる技術を開発し、2018年1月17日に発表した(リリース)。100mという距離は「業界最高水準」(同社)とする。

 電子ミラーは、自動車のバックミラーやサイドミラーをカメラとモニターで代替するシステムを指す。2016年6月に欧州や日本で認可された。今回の技術は、高速道路などで車線変更する際に後方から近づいてくる車両を電子ミラーで認識する用途を想定している。この場合、いかに遠くの車両を正確に認識できるかが重要である。後方から接近する車両の相対速度が50km/hの場合、30mの距離ではわずか2秒で到達してしまうが、100mの距離があれば7秒の時間的な余裕があるからだ。

遠方の車両は認識しにくい
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遠方の車両は認識しにくい

 ただ、電子ミラーに使われる広角カメラでは、遠方の物体が標準画角のカメラに比べて小さく映るため、画像認識が難しい。今回は脳の視覚情報処理の仕組みを応用した「視覚認知モデル」を独自に開発し、広角カメラ画像の中から遠方にある特徴的な部分を抽出できるようにした。具体的には、「画像の中の遠方の領域から、輪郭線の向きやコントラストの変化が大きい部分を見つけ出す」(同社)という。

脳の視覚情報処理を応用し、遠方の特徴的な物体を抽出
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脳の視覚情報処理を応用し、遠方の特徴的な物体を抽出