「2018年までに11の大型液晶パネル生産ラインが立ち上がる」――。液晶パネル工場の建設ラッシュが続く中国で開催されたディスプレー関連の国際会議「Display Innovation CHINA 2015/Beijing Summit」(10月13~14日、中国・北京)の会場は、熱気に包まれた。3兆円を超える巨額投資が見込まれる。中国経済の減速が顕在化しても、中国液晶パネルメーカーの勢いは止まらない。

BOE社の液晶パネル工場
BOE社の液晶パネル工場
ほぼ毎年、最新鋭の工場が立ち上がる。図中のGは工場の世代を示す。また、a-SiはアモルファスSi、LTPSは低温多結晶Si、酸化物は酸化物半導体の略。これらの半導体をバックプレーンのTFTに用いる。
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 中国液晶パネル最大手のBOE Techonology Group社は2015年3月、重慶市で第8.5世代工場を稼働させた。同社にとって3番目の第8.5世代工場である。同社は2014年にも合肥市で第8.5世代工場を稼働させている。2017年には福州市に4番目の第8.5世代工場を立ち上げる計画だ。また、低温多結晶Si(LTPS)を用いた中小型パネル用の新工場(第6世代)も、2017年に稼働させる予定である。

第10.5世代工場の起工式を開催
第10.5世代工場の起工式を開催
BOE社は、第10.5世代の液晶パネル新工場の起工式を、2015年12月2日に安徽省合肥市で開催した。(写真:BOE社)
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 2015年12月2日、BOE社は第10.5世代の液晶パネル新工場を着工した。新工場の総投資額は400億人民元(約7700億円)。2018年第2四半期の稼働を目指す。新工場で使うガラス基板の寸法は2940mm×3370mm。堺ディスプレイプロダクトの第10世代基板(2880mm×3130mm)を上回り、世界最大となる。

 このように、同社はほぼ毎年、最新鋭の液晶パネル工場を稼働させる。他社の追随を許さない大規模投資を矢継ぎ早に敢行し、“液晶世界一”の基盤を固める戦略だ。