2015年1月に開催された「North American International Auto Show (NAIAS:デトロイトモーターショー)2015」──。同展示会で関係者の注目を集めた車両の一つが、米Ford Motor社の新型ピックアップトラック「F-150」だった(図1)。先代モデルまでは鋼板を使っていたボディーに、アルミニウム(Al)合金を全面的に採用したからである(関連記事1)。
これまでも自動車のボディーにAl合金を使うケースはあったが、生産量が少ない高級車への採用が中心だった。これに対してF-150は、毎年数十万台が売れる人気車種である。量産車へのAl合金の大量採用に、世界の自動車メーカーは驚いた。
Ford社がF-150のボディーにAl合金を採用した背景には、世界的に厳しくなる燃費規制への対応がある。米国の燃費規制をCO2排出量に換算すると2010年に187.6g/kmだったものが段階的に強化され、2025年には約50%減の90.9g/kmになる。
日本でも2009年の基準(131g/km)から、2020年には105g/kmに引き下げられる。最も規制が厳しい欧州では2010年の142g/kmから、2021年には95g/kmまで強化される。
こうした厳しい規制をクリアするには、エンジンの熱効率の向上やパワートレーンの電動化などの取り組みだけでなく、軽量化素材を使ってボディーを軽くすることも重要になる。