LED電球にGaNパワー素子

図9 GaNパワー素子を適用した東芝ライテックのLED照明
図9 GaNパワー素子を適用した東芝ライテックのLED照明
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 2015年はGaNパワー素子に関しても、機器への採用が広がる兆しが見えた。例えば、東芝ライテックは、電源回路にGaNパワー素子を適用した、ハロゲン電球形のLED電球を開発し、2015年3月に発売した(図9)。GaNパワー素子の採用により、従来のSiパワー素子を利用した場合に比べて約10倍に相当する700kHzの周波数で動作可能になった(関連記事)。これにより、電源主回路部分の面積を、同社従来品に比べて約40%に小型化したという。

図10 GaNパワー素子を採用した安川電機のアンプ内蔵サーボモーター
図10 GaNパワー素子を採用した安川電機のアンプ内蔵サーボモーター
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 安川電機は、GaNパワー素子をアンプ内蔵サーボモーターに搭載(図10)。2017年までに製品化する。アンプ内蔵サーボモーターは、「サーボドライブシステム」における「サーボパック」の機能とサーボモーターを一体化したもの。GaNパワー素子の採用で、サーボパックのアンプ部(コンバーター部などは除く)の体積を従来品の1/4にした(関連記事)。

図11 富士通研究所が試作した、GaNパワー素子採用のスマートフォン向けACアダプター
図11 富士通研究所が試作した、GaNパワー素子採用のスマートフォン向けACアダプター
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 富士通研究所は、GaNパワー素子を採用したスマートフォン向けACアダプターを開発した(図11)。同素子の適用によって、小型化と高効率化を実現。12W出力で、体積は15.6ccと小さく、電力効率は87%と高い(関連記事)。急速充電に対応しており、一般的なACアダプターに比べて充電時間を約1/3にできるという。今回、開発したACアダプターに適用した技術を、2017年度中に実用化することを目標に掲げる。