再利用可能な宇宙ロケットの地上帰還を祝うBlue Origin社の関係者
再利用可能な宇宙ロケットの地上帰還を祝うBlue Origin社の関係者
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人工衛星の打ち上げ後、地上に垂直着陸した「Falcon 9」の一段目ロケット
人工衛星の打ち上げ後、地上に垂直着陸した「Falcon 9」の一段目ロケット
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 2015年は宇宙開発の歴史に残る年として将来にわたって記憶されるかもしれない。

 “夢”とされてきた再利用可能な宇宙ロケットの実験が成功し、実用化が見えてきたからだ。従来の宇宙ロケットは、高価なエンジンを搭載するブースターを打ち上げのたびに捨てていた。このブースターを地球に帰還させて再利用することができれば、宇宙ロケットの打ち上げコストを飛躍的に引き下げることが可能になる。

 しかし超音速で宇宙空間に向けて打ち上げたロケットを地球に帰還させて回収するのはきわめて難しい。ロケットエンジンに再点火し、本体を減速させて、刻一刻と変わる気象条件に合わせて、姿勢を巧みに制御し、地上に着地させなければならない。しかもこの一連のプロセスを、無人制御で実現する必要がある。

 この難題に挑んで、宇宙からロケット本体を帰還させることをライバルに先駆けて成功させたのが、米Amazon.comの最高経営責任者(CEO)のJeff Bezos氏が率いる米宇宙開発ベンチャーのBlue Origin社だ。

 2015年11月24日、Blue Origin社は再利用可能な宇宙ロケットの試験飛行を成功させたと発表した。米テキサス州西部の発射場から打ち上げられた同社のロケット「New Shepard」はマッハ数が最高3.72に達する速度で、宇宙空間とみなされる100.5kmの高度に到達し、先端に搭載するカプセルを分離した。