日経エレクトロニクス、日経ものづくり、日経Automotive、日経デジタルヘルス、日経Roboticsおよび日経テクノロジーオンラインの専門記者・デスクが、それぞれの視点で2015年のトピックを取り上げ、総括します。
【年末年始特集】専門記者が振り返る2015年
目次
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自動運転に挑む、新風吹き込むクルマベンチャー
2015年は自動車業界に新しい風を吹き込むベンチャー企業の活躍が多く見られた。特に自動運転の分野では、従来の自動車メーカーとは異なる手法によって、業界を一変しかねない機運さえ見られる。以前からクルマ向けサービスを展開していた企業に加えて、これまでクルマと無縁だった企業でさえ、次々と自動運転の開発に…
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IoT向けの中距離無線、この1年
市場拡大を見据えて規格が乱立
あらゆるモノがインターネットにつながるIoT(Internet of things)。このIoTに商機があるとみて、無線通信の半導体メーカーやモジュールメーカーが積極的に動いています。ウエアラブル機器などに使われる数~数十mの近距離無線通信はBluetoothが市場を席巻していますが、スマートホーム…
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ドローンこの1年――改正航空法施行で新たな幕開け
2015年は間違いなく、「ドローン元年」だったといえるだろう。2015年12月1日に発表された、2015年の新語・流行語大賞に「ドローン」がトップテン入りを果たしたのも、記憶に新しい(関連記事)。これまで全く無縁だった業界にも、ドローンの“風”が吹き寄せている。
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再利用可能な宇宙ロケット、この1年
飛行実験が成功、アマゾンCEOとテスラCEOが火花
2015年は宇宙開発の歴史に残る年として将来にわたって記憶されるかもしれない。“夢”とされてきた再利用可能な宇宙ロケットの実験が成功し、実用化が見えてきたからだ。従来の宇宙ロケットは、高価なエンジンを搭載するブースターを打ち上げのたびに捨てていた。このブースターを地球に帰還させて再利用することができ…
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栄光の1年のはずが…輝き失ったフォルクスワーゲン
喜びに包まれるはずだった。あの日が訪れるまでは…。2015年9月18日、自動車業界を大きく揺さぶる発表があった。米環境保護局(EPA)がドイツVolkswagen(VW)社に対し、大気汚染防止法の違反通知を発行したのだ。同社の4気筒ディーゼルエンジン「EA189」のエンジン制御システムに、EPA排…
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「航空機部品へと挑戦する企業」を振り返る
航空機産業への参入障壁は依然高く、各国の航空当局による認証の厳しさと多大な初期投資が妨げとなっているようです。航空機産業に関連する情報が少ないというのも理由です。取材先からも「ここは出さないでください」というような言葉を普段以上によく聞き、秘密性の高さを感じました。2015年12月号の「羽ばたけ 日…
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日経エレクトロニクスをご存知ですか――月刊化1年目の電子産業とこれから
「何のこと?意味がわからない」。この記事のタイトルを見て、そう思われた読者も多いかもしれません。確かに、日経テクノロジーオンラインをご愛読いただいている方が、「日経エレクトロニクス」の誌名を聞いたことがないとは考えにくい。しかし、これから書くことを全てご存知の方は、あまりいないのではないかと推察し…
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サービスロボット、この1年、無料で利用できるロボットも登場
2015年、最も話題になったロボットはソフトバンクのパーソナルロボット「Pepper」だろう。発表されたのは2014年だが、2015年2月に開発者向けに発売され、2015年6月から一般向けに販売が開始された。
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パワー半導体この1年――買収や協業が相次ぐ、SiCやGaNも浸透
省エネの切り札とされるパワー半導体。2015年は、パワー半導体素子(以下、パワー素子)のメーカーの買収や協業が相次いだ。SiCやGaNといった次世代のパワー半導体の適用も進んだ。加えて、酸化ガリウムやダイヤモンドといった、SiCやGaNよりも材料特性が優れるとされる材料の開発も進展した
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日本の宇宙探査、この一年――リベンジ果たす「あかつき」、Ryuguに針路「はやぶさ2」
2015年は、日本の宇宙探査において惑星探査の先進国入りを果たすための重要な年となった。特にこの12月、大きなイベントが続いた。その一つが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の金星探査機「あかつき」の金星の周回軌道への投入だ。
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ディスプレー、この1年――中国が爆投資、有機ELは再燃
「2018年までに11の大型液晶パネル生産ラインが立ち上がる」――。液晶パネル工場の建設ラッシュが続く中国で開催されたディスプレー関連の国際会議「Display Innovation CHINA 2015/Beijing Summit」(10月13~14日、中国・北京)の会場は、熱気に包まれた。3…
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一躍主流へ、圧縮比10超の過給エンジン、この1年
2015年、日系自動車メーカーがこぞって発売したのが過給“ダウンサイジング”エンジンである。欧州勢がかねて主導する潮流に、日系メーカーが本格的に追随した。電動化に邁進していたトヨタ自動車やホンダが、海外市場で欠かせないと考えて本腰を入れた。年末にはマツダが、際立つ圧縮比を実現した過給エンジンを投入…
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観光列車この1年――わざと遅く走る列車が出現
豪華寝台列車「ななつ星in九州」を成功させたJR九州が、2015年8月8日にスイーツコース付き観光列車「JRKYUSHU SWEET TRAIN『或る列車』」の営業運転を開始した。ななつ星は抽選に当選しなければ乗車できないが、或る列車はもう少し気軽に乗れるよう、先着順で切符を買えるようにした。利用状…
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スマート工場、この1年――日本勢に反攻の兆し、AIへの関心も高まる
最先端のITによって、工場をより賢くする「スマート化」が加速している。これまではドイツの「Industrie 4.0」(インダストリー4.0)をはじめ海外の取り組みが目立っていたが、2015年は日本勢が反攻に打って出た1年といえるかもしれない。最も大きな変化は、インダストリー4.0のような産官学連…
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クルマの軽量化、この1年 ── ボディーのアルミ化が加速
2015年1月に開催された「North American International Auto Show (NAIAS:デトロイトモーターショー)2015」──。同展示会で関係者の注目を集めた車両の一つが、米Ford Motor社がの新型ピックアップトラック「F-150」だった。先代モデルまでは鋼…
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5年ぶりにパッケージを見た
いきなりで恐縮だが、筆者は2010年4月に「日経エレクトロニクス」編集から女性向け健康美容雑誌「日経ヘルス」編集に異動していた。そこからはひたすら、女性の脂肪を減らす手法や若く見せるためのメイク法といった取材に明け暮れる毎日だった。そして、2015年10月、「日経テクノロジーオンライン」編集へと戻る…
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品質と安全、この1年――動き出した新しい「安全」
東洋ゴムの免震ゴム偽装、ホンダの「フィット ハイブリッド」をはじめとする一連のリコールなど、近年、安全を脅かすような事故や品質問題が後を絶たない。日本が誇ってきた「品質」が揺らいでいるのではないか――。こうした指摘を耳にすることが多くなった。一方、品質の重要な要素である「安全」という面では、2015…
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5G、この1年―2020年実用化への道が見える
2015年は、第5世代移動通信システム(5G)の議論が業界全体で本格化した年だった。2014年まではNTTドコモなど一部企業が5Gに向けた技術を積極的に発表してきたが、2015年は基地局メーカーや端末向けチップセットメーカーなど移動通信の技術開発に関わる各社が、一斉に、5Gに向けた考え方を表明した。
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東芝不正会計問題、屋台骨を揺るがす事態に発展するまで
東芝の不正会計問題が発覚したのは、2015年春のことである。インフラ工事の一部にコストを過少に見積もる「不適切」な会計処理があったとして、2015年4月3日にまず特別調査委員会が発足した。インフラ工事の会計ルールである「工事会計基準」におけるコストの見積もりは、企業自身の主観に依存する。後から見て過…
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医療ビッグデータ、この1年―― 実臨床へ歩みだすゲノム医療
日々の血圧や脈拍などの「生体情報(バイタルデータ)」、運動や食事などの「生活情報」、そして「遺伝(ゲノム)情報」。これらのデータを、個人の体質や生活習慣に合わせた病気の予防や早期発見、効果的な治療につなげる「医療ビッグデータ」。このうち、行政や医療現場、産業界を巻き込んだ大きな動きが2015年にあ…