日本発のドローンソフトウエア人材
2016年9月には、ドローンのオープンソース界隈で分裂騒動が起こった。米3D Robotics社CEOのChris Anderson氏が率いる、ドローン向けのオープンソースプロジェクト「Dronecode」から、中核プロジェクトの「ArduPilot」の開発者が独立し、新組織「ArduPilot.org」を発足した。詳細については、『日経Robotics2016年11月号』の記事をご覧いただきたい。
そのArduPilot.orgが2017年、この日本で新たなプロジェクトを始動させる。ArduPilot.orgの主導者の1人であるRandy Mackay氏らが中心となり、ArduPilotの日本での普及を促進する「APTJプロジェクト」を2017年3月25日に立ち上げる。ドローンのオープンソース技術者の需要を掘り起こし「日本から世界に向けて、ドローンを用いた社会課題の解決提案を目指す」(同氏)という。
第1弾として、Mackay氏を講師とする「ドローンソフトウエアエンジニア養成塾」(関連記事)を2016年5月から3カ月間にわたり開催した。これからドローン業界に参入しようとする警備会社やITシステム会社、組み込み系エンジニアなど35名が1期生として参加。2016年11月11日に開催された塾生による成果発表会では、プロのオペレータでも難しいとされる渦巻きを描くような飛行や、障害物をドローンが自動で検知し回避するデモなどを披露した(図5)。
こうしたドローンのソフトウエア技術者などと企業とをマッチングする企業も出現した。2016年5月に創業したスカイウィングスだ。同社代表取締役の入江衣代氏は、JUIDAの認定校の1つである「デジタルハリウッドロボティクスアカデミー」の1期生でもある(図6)。当初はオペレータと企業とのマッチングを想定していたが、当面はよりニーズの強い「機体開発や飛行制御などを行うソフトウエア技術者に対し、マッチングを行っている」(入江氏)という。ドローンの知識があるだけでなく、自動運転技術や人工知能といったソフトウエア分野で強みを持つ人材が有望だという。