機関投資家が「石炭」から“撤退”

 「ダイベストメント(投資撤退)」の観点では、近年、化石燃料を大量に使用する企業からのダイベストメント方針を表明する機関投資家が増えている。例えば、世界最大級の公的年金基金であるノルウェー政府年金基金、全米第2位の公的年金基金であるカリフォルニア教職員退職年金基金(CalSTRS)、及びスウェーデン第二公的年金基金(AP2)などは、石炭関連企業からのダイベストメント方針を表明している。

 最近では、世界最大級の保険会社であるフランスのアクサが、石炭関連企業のダイベストメントの対象を大幅に拡大することを表明した(図3)。石炭火力発電所そのものの撤廃計画も進展しており、ドイツ、オランダ、英国、フランス、カナダ、オーストリア、フィンランド、及び米ニューヨーク州などは、段階的に廃止する計画を打ち出している。

図3●フランスのアクサは石炭関連企業からの「ダイベストメント」を表明
図3●フランスのアクサは石炭関連企業からの「ダイベストメント」を表明
(出所:アクサ社のウェブサイト)
[画像のクリックで拡大表示]

 化石燃料関連企業からのダイベストメントが進展する一方で、E(Environment:環境)、S(Social:社会)、G(Governance:ガバナンス)の観点を重視して投資する「ESG投資」は急速に進展している。運用額は世界で約2500兆円となっており、5年前の約2倍に増加している。

 化石燃料を多量に保有・使用するサービスや製品に関連する事業は、今後、競争力を失うまたは事業存続そのものが困難になる可能性が高まってきていることが明らかである。