6億人の暮らす土地が水没!?

 人類への影響は、既に様々な形で現れつつある。

 このまま抜本的な対策がなされない場合、海面上昇による国土の水没(米国の非営利研究組織「クライメート・セントラル」によると、気候変動がこのまま進むと、将来的に約6億人が暮らしている土地が水没するとの研究結果)、数十年または数百年に一度レベルの大洪水や台風等の頻繁な発生、地球温暖化に伴う熱中症や感染症リスクの増大、森林等の火災の増加、及び地球のバランスが崩れることによる世界的な食糧・水不足の深刻化等が現実になることが指摘されている。

 World Economic Forum(世界経済フォーラム)は、毎年、グローバルリスクに関する研究結果を、「The Global Risks Report」として発行し、グローバルリスクのトップ5を掲載している。グローバルリスクのトップ5は、「気候変動」に関連するものが多く、気候変動は人類にとって最もインパクトの大きいリスクの1つであることが明らかである(図2)。

図2●グローバルリスクのトップ5
図2●グローバルリスクのトップ5
(出所:The Global Risks Report 2017・World Economic Forum)
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気候変動対策の大転換点 

 気候変動問題が深刻になり、その影響が顕在化しつつある中、2015年11月~12月にパリで開催されたCOP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)にて、世界の気候変動対応の大転換点ともいうべき「パリ協定」が採択された。

 その後、パリ協定の発効要件「55ヵ国以上が批准し、全世界の温室効果ガス排出量の55%以上をカバー」にたった1年弱で達し、2016年11月にパリ協定は発効した。パリ協定には、気候変動に関する様々な取決め事項が盛り込まれた。パリ協定に関する主要なポイントは下記の通りである(図3)。

図3●パリ協定に関する主要なポイント
図3●パリ協定に関する主要なポイント
(出所:環境省、資源エネルギー庁のウェブサイトに基づき筆者作成)
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