そもそも「気候変動問題」とは?

 気候変動はそもそも起こっているのか?という議論がなされることがあるが、気候変動は確実に起こっているといえる。

 図1は紀元700年から2100年までの世界の平均気温の推移と予測である。世界の平均気温は、産業革命前(おおよそ1800年以前)まで極めて安定してきたが、産業革命を境に気温が上昇しはじめ、現時点で産業革命前と比較して約1℃上昇している。産業革命によって、二酸化炭素などの「温室効果ガス」が多量に排出される社会に移行したためである。

 このまま追加的な排出削減対策がなされない場合、特に新興国における温室効果ガスの排出量が大幅に増加することが想定され、2100年には世界の平均気温が産業革命前と比較して6℃以上上昇することが指摘されている。

 米国航空宇宙局(NASA)や世界気象機関(WMO)の気候科学者は、この異常な気温上昇の傾向に対して警告を発している。科学的に、気温上昇幅が2℃を超えると環境が急速に悪化し、人類の存続が困難な社会になる可能性が高いと予測されており、このままでは、将来、人類社会ひいては人類の生存そのものに甚大な影響を及ぼすことが想定される。

図1●世界の平均気温の推移
図1●世界の平均気温の推移
(出所:全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト)
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