見守り・監視技術の特許を分析するに当たって、まずは分析対象となった1095件を、見守り対象の5分野に分類した件数分布を図1に示す。
見守り対象別に見ると、介護看護の見守りが全体の約6割を占め、最も件数が多い。次いで、保育の見守りが2割弱、徘徊迷子の見守りと運転者の見守りが1割弱となっている。ペットの見守りは3%にとどまる。
少子高齢化の進行とともに、介護施設や病院、高齢者世帯や独居者などさまざまな場所で介護、看護の問題が顕在化し、見守り・監視技術の必要性も緊急度を増している。介護看護分野の特許が最も多いのは、それを反映していると考えられる。また、少子化の進行を防ぐためには保育施設の充実や家庭での保育の負担軽減が重要となっており、保育分野の特許が多いのはそれを反映していると考えられる。
位置/動きによる見守りが最多
次に、分析対象1095件を見守り方法の3分野に分類した件数分布を図2に示す。
見守り方法別に見ると、位置/動きによる見守りが全体の4割強を占め、最も件数が多い。次いで、カメラ/画像による見守りが4割弱、生体信号による見守りが2割強となっている。
カメラ/画像による見守りは、人間の目視に近い遠隔見守りが可能なことから広く用いられており、さらに画像処理による対象の状態の自動判定技術も発展している。一方、見守られる側のプライバシーや「監視されている」感覚などの課題もある。
生体信号による見守りは、体温、呼吸、心拍などのセンシングによって見守り対象の状態をより的確に判断できる。また、データの蓄積による健康管理や医療との連携などの特長ももつ。一方で、医療に近づくほど薬事法などの制約から製品化に時間がかかる場合がある。