まさに雨後の竹の子――。世界でAI(人工知能)スピーカー(スマートスピーカー)の新機種が続々と登場している。世界最大のオーディオ機器産業集積地となった中国発ブランドの製品が特に多く、中国Webサービス企業も後に続いた。Alibaba(阿里巴巴)社の「天猫精霊X1」、Baidu(百度)社の「小魚在家」、JD(京東)社の「叮咚」、Tencent(騰訊)社の「叮噹」などだ。「AIスピーカー開発の裏側」では、前編で「Amazon Echo」を取り上げたが、後編では中国企業の“驚き”の開発手法を紹介する。

499人民元(8483円)で販売中の天猫精霊X1は、SoCとしてMediaTek社の「MT8516」を使う
499人民元(8483円)で販売中の天猫精霊X1は、SoCとしてMediaTek社の「MT8516」を使う
(写真:Baidu社)
[画像のクリックで拡大表示]

 前編で紹介したように、米Amazon.com社は子会社の米Amazon Lab126社で自ら設計し、台湾Foxconn(Hon Hai Precision Industry、鴻海)社が詳細を詰めて製造している。

 米Google社も同様な体制を採っている。AIスピーカーでは珍しい米Marvell Technology Group社のSoC(System on Chip)やWi-Fi ICを用いており、設計についてAmazon.com社以上のこだわりを感じる1)。筆者は「Google Home」の製造元を台湾Inventec(英業達)社と見ている。同社はサーバーやノートパソコンの製造で知られているが、米Apple社のBluetoothイヤホン「AirPods」を手掛けている1社である。