この記事は『バイタルサインセンシング技術に関する特許分析と事業化動向【Part.1 日本特許編】』(発行:キャップインターナショナル)から一部を抜粋・編集したものです。

 今回は、心拍/脈拍、血圧、心電、血中酸素という4種類のバイタルサインについて、その測定(センシング)技術の発展の経緯を紹介しよう(表1)。

表1●4分野のセンシング技術の発展経緯
表1●4分野のセンシング技術の発展経緯
[画像のクリックで拡大表示]

 心拍/脈拍(heart rate)の測定はかつて、医師が聴診や触診で拍動を検知し、時計を見ながら一定時間拍動を数えるという方法が採られてきた。その後、心電や血圧、血中酸素などの電子的測定法が普及してからは、それらの測定器で心拍/脈拍を同時に測定し表示することが増えた。

1987年に登場していた腕時計型心拍計

 医療現場以外で使うことを前提とした心拍/脈拍計(heart rate monitor)としては、例えば1977年にクロスカントリーのフィンランド代表チームが、心電方式の携帯型心拍計をトレーニング用に開発したことが知られる。1982年には一般向け携帯型心電計として発売された。これらは測定用電極を胸部にベルトで固定し、表示部(本体)に無線送信するタイプだった。

 測定用電極と表示部を一体化した携帯型心拍/脈拍計としては、脈拍測定用の光電センサーを搭載した多機能腕時計が1987年に発売された例がある。