「おお、丸くなっている」。ホーム画面が表示されたiPhone Xのディスプレーを見て、有機ELの研究者A氏は声を上げた。iPhoneシリーズで初めて有機ELを採用したiPhone X。そのディスプレーの形状は特徴的だ。表示領域を最大限に広げるために、通常のディスプレーにはない、丸く切り取られた部分が目立つ。
例えば、筐体の丸みに合わせて、ディスプレーの四隅は丸くなっている。そうすることで、筐体のどの部分もギリギリまで表示領域にした。ディスプレー上辺の中央部はU字型の切り欠き部分がある。ここにインカメラや顔認証用の部品を収めつつ、その左右の領域にあえてディスプレーを残して画像を表示できるようにした(図1)。
iPhone Xの発表時に「10年以上もの間ずっと、全面ディスプレーのiPhoneを作ることを考えていた」(米Apple社 Chief Design OfficerのJonathan Ive氏)と語ったように、Apple社の全面ディスプレーに対する強いこだわりが、iPhone Xのディスプレーの特徴的な形状から見て取れる。