五輪後の「新国立」に観客動員300万人の読売ジャイアンツの誘致を考案したドームの安田秀一社長(写真:都築 雅人)
五輪後の「新国立」に観客動員300万人の読売ジャイアンツの誘致を考案したドームの安田秀一社長(写真:都築 雅人)
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「950億円で新国立競技場をつくり、プロ野球チームの読売ジャイアンツを東京五輪後に誘致する」――。今春、世間を驚かせたニュースは、スポーツを核としたビジネスを展開するドームの安田秀一社長の提案だった。国内でスポーツを振興するために、経済合理性を厳しく突き詰める整備計画の重要性について、安田社長が語る。(インタビューは9月15日に実施)

ドーム代表取締役
安田秀一(やすだ・しゅういち)

1969年東京生まれ。高校時代からアメリカンフットボールを始め、キャプテンとしてチームを全国ベスト8に導く。大学では法政大学体育会アメフト部の主将や大学全日本選抜チームの主将を務める。92年に法政大学文学部日本文学科卒業、三菱商事に入社。96年に株式会社ドームを創業。98年に米スポーツアパレルブランド「アンダーアーマー」と総販売代理店契約を締結。サプリメント事業やスポーツマーケティング分野にも事業を拡大している。ドームの2014年度の連結売上高は約300億円、今期は400億円を見込む

――「2020年東京五輪後に新国立競技場を改修して読売ジャイアンツを誘致する」という大胆なアイデアを提案した理由は。

安田:私は元々「国立」競技場に反対という立場。国立競技場は「広く一般に利用する」という理念でつくられる。そうなると極端な例えだが、市民の運動会にも使わせないといけない。維持費だけでも年間に何十億円が掛かるうえ、日本経済は将来的に地盤沈下していく可能性が高い。そんな状況で東京の一等地に無駄遣いをするような競技場をつくってはいけない。そうした発想はやめてくださいと訴えてきた。

 神宮外苑は世界的な都市・東京の中でも最高の場所だ。世界最高の土地で世界最先端のスポーツビジネスが実現すると想像したら、ワクワクしないだろうか? 日本で観客動員の多いスポーツのひとつが野球だ。なかでも読売ジャイアンツは年間の観客動員数が300万人を超える。神宮外苑への集客力が増せば税収が増える。国立競技場は東京五輪後に野球専用に改修する必要があるが、イニシャルコストを含めて競技場の収益で補うことができる。

「新国立」を東京五輪後にプロスポーツの専用スタジアムに改修。神宮外苑一帯に人が集まる仕掛けをつくる(資料:ドーム)
「新国立」を東京五輪後にプロスポーツの専用スタジアムに改修。神宮外苑一帯に人が集まる仕掛けをつくる(資料:ドーム)
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 神宮外苑に多くのスポーツファンが集まれば、五つ星のリゾートホテルを建てて地域を盛り上げたり、競技場のVIP室で試合を観戦しながら商談したりしてもいい。総合的に神宮外苑がこれだけの富を生み出ますよと掲げれば、周辺の地価も上昇するだろう。悪い点は1つもない。