スマートフォン(スマホ)でランニング中の動画を撮影するだけで、無料でフォームを分析・評価してくれる――。マラソンシーズンの本格到来を控え、ランナーにうれしいスマホアプリをアシックスとディケイエイチ(DKH)が共同開発した。

 アプリの名称は「Run-DIAS(ランディアス)」。iPhone用で、生体・動作計測機器や動作解析ソフトウエアなどを開発するDKHが2017年11月にリリースする予定。

ランニングのフォーム分析アプリ「Run-DIAS(ランディアス)」(提供:アシックス)
ランニングのフォーム分析アプリ「Run-DIAS(ランディアス)」(提供:アシックス)
[画像のクリックで拡大表示]
映像からAIで関節位置を認識しフォームを6項目で評価。平均と比較した客観的な傾向をユーザーに伝える(提供:アシックス)
映像からAIで関節位置を認識しフォームを6項目で評価。平均と比較した客観的な傾向をユーザーに伝える(提供:アシックス)
[画像のクリックで拡大表示]

 Run-DIASは、アシックスが蓄積したランニングフォームに関するデータや知見を活用してフォームを分析・評価する。ユーザーがアプリで動画を撮影するか、スマホに保存された動画をアップロードすると、クラウド上の人工知能(AI)が自動でランニング時の14カ所の関節位置を割り出して、スティックピクチャー(棒人間)を作成。評価基準に基づいて6項目を評価し、平均と比較したランニングフォームの客観的な傾向をフィードバックする。分析にかかる時間は、動画をアップロードしてから数分という。

 具体的にその6項目とは、「ストライド」「ピッチ」「上下動」「体幹の前傾」「腕の振り幅」「脚の振り幅」である。評価基準域の設定には、アシックスが展開している有料のランニング能力測定サービス「ASICS RUNNING LAB」で収集した、約700人分の動画データを使用している。

 今回のアプリにおける「動画からAIで関節位置を認識するシステム」で得られた結果と、動作解析で一般的に使われる「モーションキャプチャーシステム」によって得られた結果を比較検証し、精度に問題がないことを確認している。

 従来の分析アプリは手動で関節位置を割り出す作業が必要だったり、特別な機材を必要としていた。Run-DIASではそれらが不要になるため、誰でも手軽にフォームを分析できる。

 アシックスは2016年2月、世界で3000万人以上が使用するランニングアプリ「Runkeeper」を運営する米FitnessKeeper社を買収すると発表した。Runkeeperには無料版のほかに、有料版の「Runkeeper Go」というサービスもある。また2006年にはASICS RUNNING LABを開始した。今回のフォーム分析アプリは、スポーツ用品大手メーカーによるITを活用したサービス事業強化の一貫と言える。