プロの専属トレーナーによるオンライントレーニング――。こんな触れ込みのサービスを始めたのが、あの「ソネット」を運営する企業であることを知ったら、意外に思う人も多いだろう。

 ネット接続プロバイダー(ISP)の老舗であるソネットを運営するソニーネットワークコミュニケーションズ(2016年7月1日に社名をソネットから変更)は、2016年2月に「ソネトレ」の提供を開始した。

トレーニング画面例。トレーナーが個別のユーザーごとに作成したメニューや実施したセット数が表示される
トレーニング画面例。トレーナーが個別のユーザーごとに作成したメニューや実施したセット数が表示される
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 ソネトレは、「オンラインパーソナルトレーニング」と呼ばれる、スマートフォン(スマホ)やパソコンに向けた新しいタイプのサービスだ。ジムやスポーツクラブに行かなくても、専属トレーナーが個々の目的に合わせたトレーニングメニューを作成。ユーザーは自宅でスマホやパソコンの画面を見ながらそのメニューをこなし、月に1回はトレーナーが具体的にアドバイスをしてくれる。

 最大の売りは、「(一部のオンラインサービスのように)AI(人工知能)ではなく、トレーニングのプロが実際にアドバイスをする点」(ソニーネットワークコミュニケーションズ カスタマーコミュニケーション部門 会員サービス企画部 企画課 マネジャーの西野篤氏)。個人で専属トレーナーを付けると月に数十万円など高額になるケースが多いが、ソネトレの場合は月2500円(税抜き)で済む。

 「理想のカラダづくり」を目指してスポーツクラブに通ったものの、「時間がない」「費用がかかり過ぎる」「自分に合ったトレーニングかどうか分からない」などの理由で、挫折した経験を持つ人は多い。ソネトレは、こうした課題の解決を目指す。

ISPのノウハウ生かせる

 ソネットはISPとして約20年以上もサービスを提供してきた経験がある。現在でも277万人(2016年6月末時点)の会員を有する。

 ところが、人口減少局面を迎えている日本では、今後ネット市場の拡大は望めない。こうしたなか、近年はISP以外の新サービスの開発が重要なテーマとなっていた。

 同社が掲げる新サービスの条件は、センサー、デバイスなどソニーの技術を生かせる上、今後社会的なニーズが高まっていく分野だ。

 そこで新サービスを開発する部署に所属していた西野氏は2014年、オンラインパーソナルトレーニング事業を社内で提案した。自ら25年以上、テニスコーチとして活動し、ライフワークとしてスポーツを広くサポートしたいとの思いがあった。さらに「理想のカラダづくり」には大きなニーズがあること、ISPとして継続課金型(リカーリング)ビジネスの経験が豊富なことが、その理由だったという。

ソニーネットワークコミュニケーションズ カスタマーコミュニケーション部門会員サービス企画部企画課マネジャーの西野篤氏
ソニーネットワークコミュニケーションズ カスタマーコミュニケーション部門会員サービス企画部企画課マネジャーの西野篤氏
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