テクノロジーとのさらなる融合が2019年W杯のカギに

 本日お話ししたように、GPS端末は基本的に1人の選手の位置情報を取得するものであり、それ単体のデータだけではフィジカルトレーニングやコンディショニングトレーニングになかなか活用できません。しかし、映像とリンクさせるなど、他の技術と組み合わせることで、その有用性は高まっていきます。

 実はW杯の前、ヘッドコーチを務めたエディー・ジョーンズ氏からは「プレー中にボールが移動していく軌跡を追うことはできないだろうか」というリクエストがありました。「ボールがどのような軌跡を描いていけば、トライにつながる確率が高いのか」が知りたいということです。残念ながら2015年大会までにそのようなデータを得ることはできませんでしたが、今後、さまざまな技術の進化に伴い、そうしたデータを取得できるようになっていくかもしれません。

 2015年大会前の日本代表は、世界から注目されていないチームでした。実際、南アフリカは「日本には勝てるだろう」という意識で試合に臨んだと思います。それを覆そうと素晴らしい準備をしたことで勝利をつかみましたが、今まで通りのことをやっていては2019年に日本で開催される次回のW杯で勝利を得ることはできないでしょう。

 イングランドの代表監督となったエディーも、「2015年W杯の日本代表監督として自らが行ったラグビーはもう終わった。次なる一手を考えないと、次の勝利はない」と話しています。日本代表もまた、先の先を見据え、新たな準備をしていかなくてはなりません。その準備のために、これからもテクノロジーとラグビーを融合させる取り組みがカギになるのです。

「テクノロジーが今後の日本ラグビーを支える」と古川氏
「テクノロジーが今後の日本ラグビーを支える」と古川氏
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