データが示す「世界で最も準備されたチーム」
2015年にイングランドで行われたラグビーW杯で、日本代表は優勝候補の一角・南アフリカから歴史的な勝利を挙げ、その後、多くのメディアから「世界で最も準備されたチームであった」と言われました。それは、大会後にラグビーの国際統括団体であるワールドラグビーがつくったレポートでも、数字として示されています。
このレポートには各国のプレーに関するデータが記載されていますが、日本代表は選手の平均体重(Player Size)では参加20カ国中18位、相手のボールを奪う力(Opp.Rs&Ms turn Over)は参加国中20位という数字でした。つまり、日本代表は体が小さく、一度防御に回ってしまうと、体の大きな相手からなかなかボールを奪い取ることができないのです。
そうした弱点があることは大会前から分かっていたことですので、体の大きな国々とどうやって戦い、勝利をつかむのか、日本代表はさまざまな準備を積んでW杯に臨みました。
その準備の成果が特に大会を通じて表れたのがスクラムやラインアウトといったセットプレーでのボールの獲得率、そして反則の少なさです。
スクラムの獲得率は2011年のニュージーランド大会では89%で7位でしたが、2015年は100%で参加国中1位でした。ラインアウトの獲得率においても、2011年の85%(7位)から93%(3位)と大きく成長しました。
さらに日本代表は反則数の少なさでも大会中1位でした。体格で劣る中、反則を犯すことなく、規律を守りながら戦い続け、歴史的な勝利をつかんだのです。