ボランティア向けシステムは2018年に稼働

 そもそも、五輪向けのシステムはどのような構成になっているのでしょうか。

 Atosはオリンピック向けにカギとなるアプリケーションを既に開発してしています。その中核となるアプリケーションの一つが、「Olympic Management System」です。

 Olympic Management Systemは、オリンピックにかかわる人を管理するシステムで、複数のサブシステムで構成します。代表的なのものが、ボランティアを管理するポータルです。ボランティアのポータルは2018年に提供開始予定です。

 ほかにもいくつかのサブシステムがあります。特に選手向けの登録システムや、認定システムなどが重要になってきます。認定システムは、選手、選手の家族、ボランティア、そして報道機関など、オリンピックに参加する全ての人に対して認定バッジを発行する機能を持っています。何千人もの人々にカードを発行する必要があるため、このサービスは非常に重要です。

 認定バッジがなければオリンピックのゲームに参加することも、オリンピックのために働き、会場にも入ることはできません。また認定バッジは、オリンピックに向けて東京に来るためのビザや、アクセス可能な会場を特定して入場を許可するといった重要な役割を果たします。本当に重要なシステムということが、お分かり頂けるのではないでしょうか。

「0.5秒以内の配信」を約束するSLAを結ぶ

 もう一つのカギとなるシステムが、結果を伝えるシステムです。オリンピックが近づき、オリンピックの期間になると、当社にとって重要なのは「結果を伝える」ことになります。

 結果の伝達を支援するシステムが、「Olympic Data Service(ODS)」になります。ODSはリアルタイムで結果を伝達するための機能を持ったシステムです。タイムキーバー分野でIOCとトップ契約を結ぶオメガが計測した結果に関するデータを取得し、データを意味のあるフォーマットに変換し、世界中の報道機関やメディアに配信します。ODSについて、我々は0.5秒以内にデータを送信するという非常に厳しいSLA(サービス・レベル・アグリーメント)を結んでいます。

 補完的なシステムもあります。報道機関向けの「Info」と「MyInfo」と呼ぶシステムです。大会期間中に競技会場に行くと、ブースにコンピュータが設置してあります。InfoはWebサービスなので、Webサイトからリアルタイムに結果が見られます。また既に終了した競技や今後の予定、「過去に獲得したメダルの数」といった選手の経歴などの情報も調べられます。

 「MyInfo」という別のサービスもあります。MyInfoは移動中に特定の情報にアクセスしたいと思った際に、インターネットを通じてInfoと同様の情報を提供するサービスです。MyInfoはInfoにはない、独自のサービスも備えています。特定のアスリートやスポーツの結果を知りたい場合は、事前に登録しておくことでアラートを送信するといった機能です。MyInfoはカスタマイズできます。

結果を届けるシステムが最も重要

 もう一つ重要なアプリケーションを紹介しましょう。「Commentator Information System(CIS)」です。CISはオリンピック期間中にとても重要になります。報道機関にとってはカギとなるシステムです。テレビ番組でコメンテーターのスクリーンに結果を表示するシステムになります。

 オリンピックを観ている視聴者は何を期待していると思いますか。それは競技の結果です。結果を届けるシステムは非常に重要なのです。なので競技が始まる前に、確実にシステムを稼働できる状態にしておく必要があります。遅れることはできません。