スポーツテックの普及によって、スポーツ産業の成長を支援する――。政府が「日本再興戦略2016」で成長産業の柱の一つと位置付けたスポーツ産業の成長の実現に向け、NTTデータ経営研究所と早稲田大学スポーツビジネス研究所が手を組んだ。

 両者は2018年3月30日、テクノロジーを活用したスポーツビジネスの変革である「スポーツテック」の普及と、それによるスポーツ産業の成長支援などを目的としたコンソーシアム「Sports-Tech&Business Lab」を設立した。

 Sports-Tech&Business Labの発起人の一人である、早稲田大学スポーツビジネス研究所所長の間野義之氏は、「2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックという世界有数のスポーツイベントを同一国が連続開催するのは世界初。2021年には『する』スポーツという点で世界最大の関西ワールドマスターズゲームズも開催される。この絶好機に将来を見据えて市場を拡大するのに、テクノロジーの活用はカギになる」と語った。

 コンソーシアムは「情報通信技術(ICT)」「スポーツビジネス」「街づくり」「周辺産業」の4分野にまたがる事業創発を促すプラットフォーム機能を提供する。異なる学問・産業分野の技術や知見を融合し、「デジタル化時代に即した次世代スポーツビジネス」「周辺産業や地域と連携したスポーツビジネスのエコシステム」の構築を目指すという。

Sports-Tech&Business Labの基本コンセプト(図:Sports-Tech&Business Lab)
Sports-Tech&Business Labの基本コンセプト(図:Sports-Tech&Business Lab)
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 スポーツ産業の成長には、スポーツの楽しさ・感動を高めること、マネタイズにつなげること、獲得した資金を基に育成・支援のための投資を行うことの3つが必要とされる。Sports-Tech & Business Labは、スポーツテックの活用によってこの3つの要素を好循環させ、スポーツビジネスのエコシステムを創出するとしている。

Sports-Tech&Business Labが目指す姿(図:Sports-Tech&Business Lab)
Sports-Tech&Business Labが目指す姿(図:Sports-Tech&Business Lab)
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国内で120社以上が業界地図に

 具体的には、1.Sports-Tech研究会、2.意見交換会、3.ワーキンググループ(WG)、4.事業化推進プロジェクト(BP)など、主に5つの活動を実施する。ちなみに4の事業化推進プロジェクトでは、WGよりも特化した企業・大学による、新たな商品化・事業化に向けた試作・実証実験などを行う。

 こうした活動のテーマとしては、従来型のスポーツテックに限らず、スポーツ産業が直面している課題を取り上げる。例えば、「地域を軸にしたリアル/バーチャルのデジタル・スポーツタウンの開発」「テクノロジー活用による部活動の改革」「楽しさやエンゲージメントの見える化と新たなスポーツ体験の開発」などである。