Under ArmourとIBM Watsonのコラボ
別の可能性として今回のCES2016で見えてきたのが、コンピューターによる個人情報の分析である。基調講演に登壇した米IBM社のGinni Rometty会長兼CEO(最高経営責任者)は、スポーツ用品メーカーの米Under Armour社のKevin Plank創業者兼CEOを壇上に招き、個人の健康データを軸に協業することを明らかにした(写真10)。
具体的には、Under Armour社が、IBMのコグニティブ(認知)コンピューティングシステム「Watson」を活用したスマートフォン向けアプリケーション「UA Record」を開発。ユーザーの心拍数や運動履歴、摂取カロリーなどのデータをもとに、フィットネスに関するアドバイスをする。人力では難しい、個人に最適なアドバイスの提供を目指すとしている。
Under Armour社は、今回のCESで活動量計と体組成測定機能付きの体重計を発表している(写真11)。Under Armour社は、活動量測定では後発となるが、Watsonを活用することで逆転あるいは新市場の開拓を目指すということだろう。
こうした各種ツールが、資金が潤沢にある、有名競技のナショナルチームやトップクラブに採用されることには疑いの余地がない。それがどれだけ一般化するかどうかは、人体から取得した情報を生かした魅力的なビジネスがどれだけ広がってくるかどうかにかかっている。