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スポーツIT革命の衝撃

ソニー、「テニスセンサー」大量導入で描く成功のシナリオ

2017/01/25 00:00

内田 泰=日経BP社デジタル編集部

 スポーツクラブを運営するルネサンスは2017年4月から、同社が全国39拠点で展開するテニススクールで、ソニーが開発した「スマートテニスレッスンシステム」を利用するレッスンを順次導入する。

 同システムはソニーが2014年5月に発売した、ラケットのグリップエンドに装着するタイプのセンサー「Smart Tennis Sensor(スマートテニスセンサー)」を使ってショットを計測すると同時に、テニスコートに設置したビデオカメラでプレーヤーの動きを映像で記録。コート内外で自分のプレーを映像とデータで確認できるシステムである。

「スマートテニスレッスン」を利用する流れ(図:ソニー)
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 プロスポーツなどトップレベルでは映像とデータを活用したトレーニングが浸透しているが、一般プレーヤーのレッスンにこうしたテクノロジーを大規模導入するのは、世界的にもほとんど例がないという。

「Smart Tennis Sensor(スマートテニスセンサー) SSE-TN1S」。グリップエンドに取り付ける。重さは約8g。ヨネックス、Wilson、HEAD、Princeの140本以上のラケットに対応(写真:ソニー)
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 ソニーはスマートテニスセンサーを、テニス用品を中心に扱うスポーツショップなどで販売している。店舗の試打スペースで体験会を開催したり、テニスコートで講習会を開くなどして地道にファンを増やしてきたが、「商品特性上、店舗に置いておくだけでは製品の魅力がなかなか伝わらない。当初の予想より苦戦していた」(ソニー 新規事業プラットフォーム SE事業室 1課統括課長の田島精一郎氏)。

 今回のルネサンスによる導入は、ソニーにとって大きなステップになる。ルネサンスは、国内最大の4万人のスクール会員を抱える。同社が運営するすべてのコートに段階的に導入する計画で、「成人向けのすべてのレッスンで対応する」(スポーツクラブ事業企画部部長の平野晃浩氏)。ソニーはルネサンスとのシステムの包括契約によって、センサーの単体売りとは異なる“安定収入”を得られることになる。ルネサンスで成功を収めれば、他のクラブなどにもシステムを提供できる可能性がある。

 さらに、ルネサンスが日々のレッスンで活用することで、プレーヤーの大量のショットデータを取得できる。ソニーはそのビッグデータを解析して新たな知見を見つけ出す方針だ。

打った直後に映像とデータを確認

 スマートテニスレッスンシステムの主な構成要素は、センサー、ネットポスト上に設置された2台のビデオカメラ、コート後方に設置された2台の視聴用タブレット、そしてデータと映像の処理をつかさどるパソコンである。

「スマートテニスレッスン」のシステム構成。ネットポスト上に設置された2台のビデオカメラ、2台のタブレット、パソコンで構成される。センサーのデータはBluetoothでパソコンに送られ、パソコン上で映像と統合される(図:ソニー)
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ネットポスト上に設置されたビデオカメラ。ソニーが開発した、ネットワーク対応のセキュリティーカメラを流用
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 スマートテニスセンサーは加速度センサーと角速度センサーを内蔵。ボールがラケットに当たったときの振動などから、スイングの種別、打点、ボールの速度や回転、ラケットのスイング速度などを算出する。ショットのデータはBluetoothでパソコンに送出される。一方、ビデオカメラは有線ネットワークでパソコンに接続されており、パソコンは撮影したプレーヤーの映像を取り込んでセンサーのデータと統合。それをWi-Fiでタブレットに送る。

 通常、テニスのレッスンでは1つのコートに複数のプレーヤーが入り、コーチが打ち出すボールを交代で打ったりする。ショットデータが付いた映像は、プレーヤーが打った直後にタブレットで確認できるよう、意図的に遅延時間を設けて表示される。

コートに設置されたタブレットに表示される映像とデータ。映像は、レッスンで自分が打った直後に見れるよう遅延時間を設定できる(写真:ソニー)
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