パナソニックは、2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、2018年2月に韓国で開催される平昌五輪(2月9日から2月25日)と3月に開催される平昌パラリンピック(3月9日から3月18日)で、スポーツ観戦向けの新しいソリューションを提供する。

 平昌五輪では、フィギュアスケートの一部関係者向けに競技場内での「マルチアングル動画配信システム」を試験運用する。競技会場で、さまざまな角度から撮影したライブ映像やプレーの解説動画などを、会場内のWi-Fiを通じてスマートフォンやタブレット端末に配信する。会場内の大型ディスプレーのサブスクリーンとして活用する。

フィギュアスケート会場で試験運用する「マルチアングル動画配信システム」の構成
フィギュアスケート会場で試験運用する「マルチアングル動画配信システム」の構成
[画像のクリックで拡大表示]

 同システムを開発したのは、モバイル端末向けの動画配信を手掛けるフランスのスタートアップ企業VOGO SAS社。パナソニックは、子会社のパナソニック インフォメーションシステムズを通じて、同システムの日本市場での独占販売契約を締結した。スマートフォン用のアプリに配信する場合、必要な帯域は1チャネル当たり1.5Mビット/秒。今回のシステムは、最大で8チャネルを配信できる。通信の負荷を軽減するため、配信にはマルチキャスト方式を用いる。東京五輪での本格運用を目指す。

 平昌パラリンピックではパラアイスホッケーの会場で、360度の撮影が可能なパナソニックのカメラ「AW-360C10/B10」(C10はカメラヘッド/B10はベースユニット)を導入する。同カメラは4つの4Kカメラを内蔵、360度の映像を生成・出力できる。今回はライブ配信は行わないものの、競技を360度の映像として記録する。

パラリンピックのパラアイスホッケーでは360度カメラで撮影する(図:パナソニック)
パラリンピックのパラアイスホッケーでは360度カメラで撮影する(図:パナソニック)
[画像のクリックで拡大表示]

LED大型ディスプレーを42画面納入

 五輪の最高位となるTOP(The Olympic Partner)スポンサーの1社であるパナソニックは、今回の平昌五輪でLED大型ディスプレー42画面(1640m2)を競技会場に設置する。これは前回の冬季五輪であるロシア・ソチ五輪の34画面を超える過去最大規模となる。さらに導入するプロジェクターも前回の206台から234台に増える。

冬季五輪としては過去最大規模の大型スリーンを設置。LED大型ディスプレーを42画面納入する(図:パナソニック)
冬季五輪としては過去最大規模の大型スリーンを設置。LED大型ディスプレーを42画面納入する(図:パナソニック)
[画像のクリックで拡大表示]

 また開閉会式では映像音響機器やプロジェクションマッピング技術を核としたソリューションを導入して演出をサポートする。3万ルーメンという高輝度のレーザー光源プロジェクター「PT-RZ31K/RQ32K」を約80台導入する予定だ。

 平昌五輪に向けて開発を進めてきた、プロ用音響機器のハイエンドモデルも納入し、以降、市場に再参入する。スキージャンプ、スノーボード、アルペンスキー(回転/大回転)など4会場で、「RAMSA」ブランドのラインアレースピーカーの音響によって、大会の盛り上げに貢献するという。

パナソニックの五輪への映像音響機器納入の実績推移(図:パナソニック)
パナソニックの五輪への映像音響機器納入の実績推移(図:パナソニック)
[画像のクリックで拡大表示]

 パナソニックは1988年のカルガリー五輪からTOPスポンサーを30年務めており、映像音響機器の提供で大会を支えてきた実績を持つ。「五輪の大会運営は絶対に失敗できないという点で、機器納入の実績はBtoBビジネスに大きなインパクトを持つ」。同社東京オリンピック・パラリンピック推進本部 スポーツ事業推進部の土屋憲一朗課長は、五輪やパラリンピックスポンサーの価値をこう語る。