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スポーツIT革命の衝撃

最新技術を積極採用、生まれ変わるリーガ・エスパニョーラ

リーグ改革とアジア進出で縮まる日本とスペインの距離

2017/01/16 00:00

久我 智也

スペインのプロサッカーリーグ「リーガ・エスパニョーラ」のハビエル・テバス会長が2016年12月の「FIFAクラブワールドカップ ジャパン2016」に合わせて来日。駐日スペイン大使館で、現在取り組んでいるリーグ改革策と今後のアジア戦略について記者会見を行った。その模様をレポートする。

放映権の一括管理によって財政健全化を実現

 ハビエル・テバス氏はリーガ・エスパニョーラに所属するクラブ「SDウエスカ」の会長や、リーガ・エスパニョーラの放映権について交渉するグループ「G-30」の代表などを歴任し、2013年からリーグ会長職に就任した人物だ。

会見を行ったハビエル・テバス会長。積極的な改革を実行し、「世界中のファンやスポンサー、パートナーに私たちの意気込みを証明したい」と力強く語った
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 テバス会長は就任後、各クラブの財政健全化や組織の透明化の推進、八百長などの犯罪行為の撲滅といった様々なリーグ改革に着手している。その中でも大きな成果を得たのが「リーグによる放映権の一括管理」である。

 かつてリーガ・エスパニョーラでは、各クラブがそれぞれテレビ局などと放映権料について交渉していた。そのため、世界から人気を集める「FCバルセロナ」や「レアル・マドリード」に利益が集中。リーグ全体に大きな経済格差が生まれ、2強体制を構築する要因となっていた。そんな中、2016−2017シーズンよりテバス会長はリーグで放映権を管理することを決定。2強以外のクラブの収入が大幅に増えることになり、経済格差を埋め、各クラブの安定的な経営を促進することになった。

最新テクノロジーの導入でリーガの魅力を高める

 放映権の一括管理がもたらしたものは財政健全化だけではない。窓口を一本化することで放送業界の要求に応えやすくなり、より近代的かつ充実した映像制作に取り組めるようになった。テバス会長は、こう話す。

360度リプレーの例。コーナーキックの場面で次第に映像が上空からの映像に変わっていく

「ラ・リーガ(リーガ・エスパニョーラ)では、機材や技術面など、視覚的な改善も行っています。例えば、今シーズンは5つのスタジアムに空中カメラを導入していますし、今シーズン、カンプ・ノウで行われたエル・クラシコ(FCバルセロナとレアル・マドリードの試合)では360度リプレイを導入しました。来シーズンには、空中カメラを10スタジアムに、360度リプレイを3スタジアムに導入したいと考えています。これらの最先端テクノロジーは、今のところラ・リーガだけが導入しているものです」

 360度リプレイは、その名の通り、全方位から試合を撮影することであらゆる角度から選手のプレーを見ることができるもの。スタジアムでは見ることのできない映像を提供することで、スポーツの魅力を倍増させる効果を持ち、今、様々な競技で注目を集めている技術だ。リーガ・エスパニョーラではさらに、スタジアムの照明やピッチ状態の改善、スポンサー看板の位置を見直すことなどによって、競技そのものがより映えるような取り組みにも着手しているという。

 こうした最新テクノロジーの導入と諸事の環境整備により、リーガ・エスパニョーラのブランド、そしてスペインという国のブランド力を高めていこうというのだ。

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