前回(第2回)は修正についてでしたが、今回(第3回)以降は是正についてお伝えしていきます(表1)。また、是正する対象を、製造品質、設計品質、企画品質に分け、最初は製造品質を対象とします。

表1  本連載「ビッグデータ活用の前に押さえるべき品質の基本」の構成
第1回で紹介したものを再掲します。
体系 タイトル
総論 第1回 現状のプロセスのまま品質改善を行っていないか?
IoT時代は抜本的なプロセス改革のチャンス!
各論 修正 第2回 適切な修正対応がとれているか?
影響範囲の見極めに、IoTを活用せよ!
是正 製造品質 第3回 設計者が製造品質を他人事と考えていないか?
バラつきの重要性を組織的に理解せよ!
設計品質 マクロ 第4回 いきなり個別の不具合分析を行っていないか?
「品質は工程で作り込む」に則り、俯瞰的に弱点工程を分析せよ!
ミクロ 第5回 視点なき「なぜなぜ分析」を行っていないか?
弱点工程の分析視点を設定し、品質向上課題を見いだせ!
企画品質 第6回 ヒアリング結果を鵜呑みにしていないか?
不確実性を考慮した分析で真の顧客要求を見極めよ!

 本編に入る前に、まず、是正と製造品質について復習をしておきましょう。是正とは、「検出された不適合またはその他の検出された望ましくない状況の原因を除去するための処置」です。不適合とは品質問題のことです。例えば、バケツに穴があいてしまった原因が錆である場合、次からバケツを造るときや使うときに錆止めの塗装をする、といったイメージです。また、修正とは、「検出された不適合を除去するための処置」です。例えば、バケツに穴があいてしまったので、穴をふさぐといったイメージです。

 製造品質(適合品質)は、出来栄えの品質です。製造品質に問題がある場合は、図面通りに製品が出来上がらず、想定していたとおりに動かなかったというイメージです。設計品質(広義の)は、狙いの品質です。設計品質に問題がある場合は、図面通りに製品が出来上がったが、寒冷地で使用すると、想定どおりに動かなかった(寒い場合の考慮が不足した設計になっていた)というイメージです。

* 広義の設計品質は、企画品質と狭義の設計品質に分かれます。詳細は、第1回の「(1)-[2] 設計品質と適合品質」をご参照ください。