――遠隔モニタリングが役に立つと実感する場面は多いですか。

 実際に、アラートを事前に受け取ったことで、患者の命を救えたケースがあります。除細動器は、作動すると普通は衝撃で飛び上がるくらいなのですが、例えば認知症の高齢者では作動したことに気付かないことがある。ですから、遠隔で常にモニタリングすることの意義は大きいですね。

下町の情緒を感じさせる院内
下町の情緒を感じさせる院内
[画像のクリックで拡大表示]

 植え込みデバイスは最近すごく進化していて、心臓に植え込むことで心臓内部の(動脈)圧を測れるセンサーも登場しています。心不全の管理などに有用なデバイスで、日本でもあと2年くらいすると使えるようになると思います。

 遠隔モニタリングは有用性が高い一方、やはり保険(点数)がハードルになっています。例えば、ペースメーカーの指導管理料は、遠隔モニタリングでは550点、それ以外では360点。そして対面診療でないと保険点数は算定されません。

 遠隔モニタリングを使うと、患者に病院に来てもらう頻度はすごく減らせるんですね。数カ月とか1年に1回でいい。そうすると、今の保険(点数)では医療機関にとってはほとんどボランティアみたいな金額にしかなりません。これでは利用は広がらない。不整脈学会などと一緒になって、これを変えていくための働きかけをしようとしています。