――ペースメーカーや植え込み型除細動器の遠隔モニタリングとは、どのようなものなのでしょうか。

 最近のペースメーカーや植え込み型除細動器にはデータ送信機能が付いていて、サーバーにデータを蓄積しておけるんです。そして何らかの異常を検知すると、医師のもとへメールなどでアラートが飛びます。

 私はもともとペースメーカーや除細動器の植え込み術などに携わってきたのですが、重度の循環器疾患は患者の生命にかかわる病気。何とかできないかと考えていたところへ、ペースメーカーや除細動器の遠隔モニタリングを使って、心不全患者などのQOL(quality of life)を向上できる可能性があることが分かってきたんです。

 日本では2008年ごろからペースメーカーや除細動器の遠隔モニタリングの動きが始まり、私が務めていた東京女子医大でも導入しました。患者からのニーズが大きいですし、何より自分自身が面白いと思える取り組みだったので、ここ数年かなり力を入れてきました。

 ペースメーカーや除細動器を植え込んだ患者には1000人以上携わってきたのですが、今でも継続して携わっている患者が多くいます。ですから、アラートはひっきりなしに来る。負担は小さくないですが、苦には思わないですね。