福島第一原子力発電所の事故において、格納容器の温度情報は放射能漏洩経路や放出された放射能量を推定する上で重要な情報である。しかし、確定的な温度は分かっていない。物理学者・技術評論家の桜井淳氏が、東京電力の事故調査報告書における格納容器温度情報を考察する。
連載
福島原発事故、格納容器温度情報の欠陥
目次
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疑問残る放出放射能量と温度の相関
東京電力への3つの提案(下)
格納容器本体には損傷がないため、その温度条件内であれば、問題視されるような放出放射能量にはならないはずである。ところが、実際には大量の放出放射能量が観測されている。東京電力の報告書を吟味してみると、その不整合の主因は公開された「温度」の信頼性にあると考えられる。
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2、3号機の不確実な放射能漏洩経路
東京電力への3つの提案(上)
東京電力は、2011年3月の福島第一原子力発電所(1F)事故の際、プラント観測情報や苛酷炉心損傷事故計算コード「MAAP(Modular Accident Analysis Program)」による計算値を公開した。津波被災後、同発電所1~3号機(1F-1~3)の原子炉水位・圧力や格納容器圧力は、継…