本コラムは、数々のイノベーションで広く知られる3Mグループにおいて、大久保孝俊氏が体得したイノベーション創出のためのマネジメント手法を具体的に紹介します。大久保氏は、自身で幾つものイノベーションを実現しただけでなく、マネジャーとして多くの部下のイノベーションを成功に導きました。

前回:やる気と自主性がイノベーションを生み出す

アイデアの独創性を考えさせる

図3 アイデアを評価する2つの指針
イノベーションはハイリスク・ハイリターンのプロジェクトである。そのプロジェク トの全体像や位置づけをなるべく明確にするために、NUDとRWWが役立つ。

 部下の新しいアイデアを評価する際、3Mのマネジャーは、「NUD」と「RWW」という2つの指標を活用することが多い(図3)。

 NUDとは、「New(新規であるか)」「Unique(唯一であるか)」「Different(明確な差異があるか)」の頭文字を取った造語で、アイデアの価値(独創性)を評価する上で大きな手掛かりとなる。

 例えば、部下が新しいアイデアを持ってきたとする。まず大事なことはアイデアを説明してもらい、内容を真剣に聞くことだ。その後でNUDを聞く。しかもできる限り具体的に。「どこまで調べて新しいと言えるのか」「具体的に何がユニークなのか」「ライバルと明確に違う点はどこか」と。